埼玉大学理学部

学部長挨拶・沿革

学部長挨拶

新型コロナウィルス感染症への対応も幾分緩和され、本学でも2022(令和4)年4月より基本的に対面による通常講義となりました。この2年間は、従来とは大きく異なった環境にありました。まだ完全に元通りになった訳ではありませんが、2年前のこの時期を思い起こせば、隔世の感があります。では、新型コロナウィルス感染症の流行は収まったのでしょうか?感染者数から判断すれば、収まったとはいえないでしょう。国内の新規陽性者数でいえば、2020(令和2)年4月は3桁であったのに対し2022(令和4)年4月は5桁となっています。検査数が異なるため単純な比較は危険ですが、この数字だけを見れば、2年前が遠隔講義なのに、今年度は対面講義が可能になったのか、と奇異な感じがします。言うまでなく、これは感染症に対する正しい理解が進んだためと言えるでしょう。

 感染症は生物が罹る病気ですので医学の領域ですが、これは本学の理学部にはありません。しかし、本学の理学部を構成する数学科・物理学科・基礎化学科・分子生物学科・生体制御学科における研究は全てこれらに貢献しうるものです。

 まず、生物学の知見が必要なことは言うまでもありません。本学部には、分子生物学科と生体制御学科という2つの生物系の学科があり、他大学の理学部にはあまり見かけない大きな特徴があります。生物内で起こるウィルスの感染は、分子レベルの解析が必要で、化学の領域になります。ウィルスが大気中をどのように伝播するかは、流体の運動を解析する物理学を必要とします。感染症の発生、拡大、終息という時間経過を予測するには数学モデルが利用されます。

 ここでは身近な話題として感染症を例に挙げましたが、理学部の学生は、感染症に限らずこれまでに積み重ねられてきた体系だった自然科学に関する学問を学んだ上で、卒業研究や大学院への進学により、更に学問の体系を伸長させていきます。それぞれの学科での開講科目による専門的知識に加えて、副専攻プログラムなどにより分野を横断した幅広い知識を得られるようなカリキュラムも用意されています。感染症においては、感染対策と経済活動をどう両立させるかが大きな問題となりました。総合大学である本学では、文理融合型の講義もあり、社会活動のなかでの理学のあり方についても学べることでしょう。

理学部長 長澤 壯之

沿革

年月 事項
1949
(昭和24)年
5月
埼玉大学:文理学部、教育学部の2学部をもつ大学として設置
1949
(昭和24)年
6月
新制国立大学発足
1953
(昭和28)
年5月
大学本部を教育学部構内(常盤地区)より文理学部構内(北浦和地区)に移転
1965
(昭和40)年
4月
文理学部を改組。
教養学部(教養学科)、経済学部(経済学科、経営学科)及び理工学部(数学科、物理学科、化学科、生化学科、機械工学科、電気工学科、応用化学科、建設基礎工学科)設置。
1967
(昭和42)年
3月
大学事務局・学生部が新管理棟(大久保地区)移転
1969
(昭和44)年
4月
理学専攻科(数学専攻・物理学専攻・化学専攻・生化学専攻)設置
1972
(昭和47)年
3月
文理学部廃止
1976
(昭和51)年
5月
理工学部を改組、理学部、工学部設置
1977
(昭和52)年
4月
理学部に生体制御学科設置
1978
(昭和53)年
4月
大学院に理学研究科設置、理学専攻科廃止
1980
(昭和55)年
4月
分析センタ-設置
1981
(昭和56)年
4月
理学研究科に生体制御学専攻設置
1984
(昭和59)年
3月
理工学部廃止
1989
(平成元)年
4月
大学院理工学研究科(博士前期課程、博士後期課程)設置
1991
(平成3)年
3月
理学研究科廃止
1995
(平成7)年
4月
理学部が数学科、物理学科、基礎化学科、分子生物学科及び生体制御学科に改組
1999
(平成11)年
4月
理工学研究科化学専攻、生化学専攻、電気電子工学専攻及び情報工学専攻が基礎化学専攻、分子生物学専攻、電気電子システム工学専攻及び情報システム工学専攻に名称変更
2003(平成15)年4月 総合科学分析支援センター設置(分析センター、アイソトープ共同利用施設と理学部動物実験室を統合)
2006(平成18)年4月 大学院理工学研究科改組重点化。
理工学研究科を教育組織(理工学研究科・教育部)と教員組織(理工学研究科・研究部)とに分離。
博士前期課程・6専攻(13コース)、博士後期課程・理工学専攻(6コース)を設置。

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