
日本の大学院において、正式に「理工学研究科」を掲げる研究科は決して多くありません。そうした中で、埼玉大学大学院理工学研究科は、1989年の設置以来、理学と工学の双方を基盤に据え、自然への深い理解と社会への確かな貢献とを結びつける教育研究の場として歩んできました。
理学は、自然界の根源的な仕組みや普遍的な法則を探究し、真理への理解を深めようとする営みです。一方、工学は、そうして得られた知をもとに技術を創出し、社会の課題解決や新たな価値の創造へとつなげる営みです。理学が「なぜそうなっているのか」を問い、工学が「それをいかに実現し、役立てるか」を問うとすれば、両者は異なる役割を担いながらも循環し、切り離すことのできない関係にあります。
端的な例が、私の専門とする人工衛星を用いた天体観測にあります。たとえば、宇宙初期の姿を探る宇宙マイクロ波背景放射の観測は、宇宙の始まりに迫ろうとする極めて理学的探究です。しかし、その実現には、極超低温環境を維持する冷凍機、微弱な信号を捉えるミリ波計測装置、宇宙空間で長期間安定して稼働する自律システム、さらに、それらを所定の軌道へ送り届けるロケット技術や軌道工学、高度な通信技術が不可欠です。理学の問いは工学の力によって初めて観測によって答えと新たな問いへと進み、工学はまた理学の厳しい要請によって新たな発展を遂げます。この構図は宇宙科学に限りません。半導体、情報通信、環境制御などなど、現代社会を支える多くの領域においても、理学の洞察と工学の実装力の結びつきが、新たな知と技術、そして社会的価値を生み出しています。
埼玉大学大学院理工学研究科で学ぶ皆さんには、自らの専門を深く究めるとともに、異なる学問領域との出会いによって広がる可能性にも目を向けてほしいと願っています。本研究科は、その場となります。本学理学系および工学系専任教員に、理化学研究所、産業技術総合研究所、国立環境研究所、物質・材料研究機構、量子科学技術研究開発機構、国立生育医療研究センター、埼玉県立がんセンター、埼玉県環境科学国際センター、埼玉県産業技術総合センター、自治医科大学大学院医学研究科、立教大学大学院理学研究科といった各連携先研究機関からの連携教員も加わり、総勢約250名の教員が、各分野の基礎研究から社会課題の解決をめざす応用研究まで、幅広い学術領域をカバーしています。専門領域の研究・教育に加え、「地球環境における科学技術の応用と融合プログラム」をはじめ、学部・博士前期課程6年一貫型の特別教育プログラムなど、分野横断的な学びの機会も充実しています。これらの一部には、民間企業の実務家教員にも参画いただいており、社会の現場で求められる視点も得ることができます。
私たちは、知の探究に真摯であると同時に、新たな可能性に向かって開かれた研究科でありたいと考えています。未来の科学技術を担う志ある皆さんが、本研究科での学びと研究を通じて、未来を切り拓く力を培われることを心より期待しています。
理学は、自然界の根源的な仕組みや普遍的な法則を探究し、真理への理解を深めようとする営みです。一方、工学は、そうして得られた知をもとに技術を創出し、社会の課題解決や新たな価値の創造へとつなげる営みです。理学が「なぜそうなっているのか」を問い、工学が「それをいかに実現し、役立てるか」を問うとすれば、両者は異なる役割を担いながらも循環し、切り離すことのできない関係にあります。
端的な例が、私の専門とする人工衛星を用いた天体観測にあります。たとえば、宇宙初期の姿を探る宇宙マイクロ波背景放射の観測は、宇宙の始まりに迫ろうとする極めて理学的探究です。しかし、その実現には、極超低温環境を維持する冷凍機、微弱な信号を捉えるミリ波計測装置、宇宙空間で長期間安定して稼働する自律システム、さらに、それらを所定の軌道へ送り届けるロケット技術や軌道工学、高度な通信技術が不可欠です。理学の問いは工学の力によって初めて観測によって答えと新たな問いへと進み、工学はまた理学の厳しい要請によって新たな発展を遂げます。この構図は宇宙科学に限りません。半導体、情報通信、環境制御などなど、現代社会を支える多くの領域においても、理学の洞察と工学の実装力の結びつきが、新たな知と技術、そして社会的価値を生み出しています。
埼玉大学大学院理工学研究科で学ぶ皆さんには、自らの専門を深く究めるとともに、異なる学問領域との出会いによって広がる可能性にも目を向けてほしいと願っています。本研究科は、その場となります。本学理学系および工学系専任教員に、理化学研究所、産業技術総合研究所、国立環境研究所、物質・材料研究機構、量子科学技術研究開発機構、国立生育医療研究センター、埼玉県立がんセンター、埼玉県環境科学国際センター、埼玉県産業技術総合センター、自治医科大学大学院医学研究科、立教大学大学院理学研究科といった各連携先研究機関からの連携教員も加わり、総勢約250名の教員が、各分野の基礎研究から社会課題の解決をめざす応用研究まで、幅広い学術領域をカバーしています。専門領域の研究・教育に加え、「地球環境における科学技術の応用と融合プログラム」をはじめ、学部・博士前期課程6年一貫型の特別教育プログラムなど、分野横断的な学びの機会も充実しています。これらの一部には、民間企業の実務家教員にも参画いただいており、社会の現場で求められる視点も得ることができます。
私たちは、知の探究に真摯であると同時に、新たな可能性に向かって開かれた研究科でありたいと考えています。未来の科学技術を担う志ある皆さんが、本研究科での学びと研究を通じて、未来を切り拓く力を培われることを心より期待しています。
理工学研究科長 田代 信








