教育研究上の目的

数学・電気電子物理工学・情報工学の延長にある諸分野には共通する要素が多々ある。例えば、カオス現象は数学の常微分方程式論や力学系における一つのテーマであるが、カオスの物理的な表現には電気回路が用いられ、その解析には情報分野の計算機援用が重要な役割を果たし、疑似乱数生成に応用される。逆に、情報工学や電気電子物理工学において開発される諸技術の信頼性の検証には、数学を用いた数理取扱いが必要とされる。本専攻では、専攻に共通する学術的内容を十分に理解し、各プログラムで修得した能力をこれらの諸分野の発展に寄与できる人材の育成を教育研究上の目的とする。

数学プログラム

クラインの壷と4次方程式の判別集合
新しい数学的現象を発見することは、数学を志しているものにとっては最大の目標である。そのためには、専門書や論文を読んだり、講義や講演などでいろいろな話を聞いたりすることはもちろん重要ではあるが、セミナーで指導教員とともに生きた数学を体験することが不可欠である。セミナーにおいて、研究テーマが論理的に明解になり、数学を理解する喜びを味わうのである。私たちは、数学プログラムに入ってきた学生が数学研究を始められるように、適切な題材を選ぶように配慮している。「数学をやって良かった」と感じるのは、前期課程2年間の努力が修士論文に結実したその瞬間である。私たちも、その時を楽しみに、毎年セミナーの指導を続けている。 19世紀の偉大な数学者ガウスは「ある学問が本当の意味での学問であるかどうかを知るためには、その中に数学がどの程度使われているかを見るのがもっとも早道だ」と述べた。本プログラムで養った数学の素養は、将来各方面で活躍する際の有形無形の支えとなる。

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電気電子物理工学プログラム

原子間力顕微鏡による味覚センサの膜表面評価とアルコール飲料の分類結果例
電気電子物理エ学プログラムでは、学部における専門基礎教育との一貫性を重視して体系化されたカリキュラムの下に、電気・電子・光・情報通信・材料デバイス分野における高度専門教育を実施している。このカリキュラムは、(1)電気・電子・光・情報通信・材料デバイス分野において技術革新を常に生み出せる創造的能力や指導力を持つと共に、優れた人間性を備えた高度技術者の養成、(2)研究分野に関する専門知識・学力を有し、社会性を考慮して各技術を有機的に結合して独創性の高い研究を継続できる研究者へ成長できる基盤を有する人材を育成することを目的としている。 研究面では、量子物性分野、電子材料・デバイス分野、情報通信・回路システム分野、エネルギー・制御システム分野、計測制御分野を擁し、電気・電子・光・情報通信・材料デバイスの広範な領域について活発な活動を行っている。 最近は地球温暖化防止技術に精通し、グローバルに活躍できる人材の養成にも注力している。

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情報工学プログラム

レーザと光ファイバを用いた物理乱数生成実験装置
情報エ学プログラムでは、高度な情報関連分野の専門家を養成するために情報機器およびソフトウェア技術、データ・知識処理技術、生体情報認識技術、信号処理および情報伝達技術、ヒューマンインタフェース技術に関する最先端の研究を行っている。 少人数クラスによる講義と輪講によるきめこまやかな教育や、国内および国際会議における外部発表を含む研究成果の発表の経験を通じて、高い情報発信能力を持ち、基礎から応用に至る広範な分野の専門的知識に精通した人材の育成を行っている。 本プログラムでは学部における教育と博士前期課程を有機的に連携させ、六年一貫の教育体系を整備することにより、技術動向の変化にも対応できる真の学力や最先端の知識に対する咀嚼能力、斬新な独創性、そして、国際的な対応能力を培っている。また、博士後期課程への進学を推奨し、次世代を切り開く研究者の育成にも精力的に取り組んでいる。

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