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2021/12/24

自分のスキルで巨大な機械の隅々までコントロールできる――それがこの仕事の醍醐味です

大学院理工学研究科2016年度卒業生 菊池 元さん

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Profile

三菱鉛筆株式会社菊池 元さん

埼玉県立川越高等学校出身
2015年3月 埼玉大学工学部電気電子システム工学科卒業
2017年3月 埼玉大学大学院理工学研究科電気電子システム工学コース修士課程修了
2017年4月 三菱鉛筆株式会社入社
現在、生産技術部 群馬グループ 主任

1887(明治20)年に創業した三菱鉛筆株式会社は、日本で初めて鉛筆の工業生産を行った歴史ある文房具メーカーです。現在では鉛筆のほか、ボールペンやサインペンなど、様々な文房具を製造販売していますが、読者の皆さんも同社の文房具を一度は手にした経験があるのではないでしょうか? さて、そんな同社の生産技術部で働く菊池 元さんは、埼玉大学の卒業生。生産設備の電気設計・制御業務に携わる菊池さんに、現在の仕事や大学時代の思い出についてじっくり語ってもらいました。

目に見えない電気の力を駆使して世界中で愛される文房具をつくりたい

ボールペンやサインペンなどを生産する設備を制御するための電気設計を行うのが、私の主な仕事です。

例えば、新商品の発売が決まると、新たな生産設備が必要になります。その際、機械本体の設計は別の担当者が行い、私は機械を動かすための制御盤や配線図を設計しています。さらに設計図に沿って機械が組みあげられた後も、機械のモーターやセンサーを動作させるプログラムを作成し、効率よく、確実に製品を生産するための細かい調整などを行います。

私が担当するのは、主に全長が5m近くあるペン軸を生産する機械。自分が構築した仕組みでそのような大きな機械の端から端までを動かせるところに面白味を感じます。

三菱鉛筆への入社を志望したのは、実体のない電気を扱いながら、目に見える成果が実感できる仕事に就けると考えたから――。電気設計を通じて、世代や国境を越えてたくさんの人に使われる当社の筆記具を作ることに大きな魅力を感じたのです。

実際に働いてみて気付いたのは、年齢を問わず考えが発信でき、自らの創意工夫を仕事に反映できる風土が、社内に醸成されていることでした。例えば、担当業務に関係なく、自分のアイデアを社長にプレゼンできるアイデア会が毎年開催されるのも、そのような社内風土があるからこそだと思います。ちなみに、芯部分が回転することで、シャープ芯の先端がトガり続けるシャープペンシル「クルトガ」も、アイデア会から生まれた商品の1つでした。

また、入社後1~2年は上司からのサポートを受けながら仕事を進めていきますが、その後は1人で仕事を任されるようになります。早いうちから様々な経験を積み、成長が実感できることは、入社してよかったと感じる部分ですね。

生産設備の環境負荷低減に貢献するために

スマートフォンやタブレットなどの電子機器が普及したことによって、文房具業界を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。当社では、そのような状況の中で、お客様にできるだけ長く使っていただくために、特別な性能や機能をもつ文房具の開発に力を入れています。

例えば、私が生産設備の電気設計を担当し、2020年2月に発売したユニボールワンというボールペンもそんな商品の1つ。従来品より、文字が色濃く書けるゲルインクを採用したことで、勉強の際に使うと書いた内容を記憶に残りやすくなるという効果が期待できるのです。

現在、世の中では、生産設備のIoT化による生産性向上の実現が求められています。なぜなら生産性が向上すれば、原材料の使用量削減や、生産設備の稼働時間短縮によるCO2排出量の削減効果が見込めるからです。当社でもそのような取り組みを進めていますが、古くから稼働している設備が多く、IoT化を進める余地がまだまだ残されています。そこで、現在は生産設備を進化させるためのスキルや知識を得るために積極的に学んでいるのです。

自発的・効率的に仕事を進めるスキルは、埼玉大学で習得?

埼玉大学には、大学院も含めて6年間在籍しましたが、大学時代は、工学部の電気電子システム工学科(現 電気電子物理工学科)で、電力、半導体、情報通信など、幅広い分野について学びました。

大学4年次から大学院を卒業するまでに所属した前山光明先生の研究室では、高電圧で発生するプラズマを利用した有害ガスの除去について研究。当時の研究内容は、現在の仕事に直接役に立つものではありませんが、自らの考えで調査・実行・考察をしながら研究した経験は、仕事をする上で大いに役立っています。業務上の課題に直面した際に、自律的に必要な情報をリサーチし、課題解消に向けた取り組みを短時間で実行するための工夫を凝らすスキルが身につきました。

また、天文同好会での活動も学生時代のよい思い出です。振り返ると、栃木県の戦場ヶ原に天体観測へ行き、都会では見ることができない天の川や無数の星の観測をしたり、むつめ祭(埼玉大学の学園祭)で、自作のドーム型プラネタリウムで上映会を開催したりと楽しかった記憶ばかりがよみがえってきます。さらに同好会の副会長を務めたことで身についた、自分の意見を周りに的確に伝える力も日々の業務をこなす上で重宝しています。

すべての学部が同じキャンパスにあるため、多様な学生と交流できるのが、埼玉大学の大きな魅力です。私は、サークルのメンバーだった教育学部美術専修の学生との交流をきっかけに、芸術や美術に興味をもつようになりました。

大学は、学問を学ぶだけでなく、様々な人々と交流する場でもあると思います。埼玉大学には、その両方を満たし、学生の知識や感性を刺激してくれる理想的な環境が整っているのではないでしょうか? 私自身、大学生活で人としての幅が広がったように感じています。

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