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2024/11/14

得意分野が活きる仕事は必ずある――先入観にとらわれずチャレンジを

工学部2007年度卒業生 堀口 歩さん

Profile

東日本旅客鉄道株式会社 大宮支社 大宮電力設備技術センター 電路設備管理G 副長(取材時)堀口 歩さん

千葉県立小金高等学校出身
2008年3月 埼玉大学工学部電気電子システム工学科(現電気電子物理工学科)卒業
2008年4月 東日本旅客鉄道入社

「お客さまの安全性や利便性を守るこの仕事に誇りをもっています」
落ち着いた口調ながら、仕事への思いを熱っぽく語ってくれたのは、東日本旅客鉄道(JR東日本) 大宮支社 大宮電力設備技術センターで電路設備管理Gの副長(取材時)を務める堀口 歩さん。今回は、埼玉大学工学部の卒業生で、JR東日本入社以来、技術者として活躍し続ける堀口さんにお話を伺いました。さて、堀口さんが大学生だった頃は、まだまだ理工系分野で活躍する女性が少なかった時代。それ故、当時は「将来、自分はこの分野でやっていけるのだろうか?」という不安があったといいます。しかし、埼玉大学で幅広い学びを身につけたことと、世の中に存在する仕事の幅広さを知ったことで、道を切りひらくことができたようです。

乗客や駅利用客の安全と利便性を守る電気設備保全の仕事

世の中には、学生として生活していると気がつかない仕事がたくさんあります。ですから、学生の皆さんには、たとえ「この分野で活躍するのは自分には難しいかも?」と思っても、諦めないで欲しいです。なぜなら、得意分野や適性を活かして輝ける仕事は意外とあるものだから。

なぜ私がそう思うのか? 実体験を交えてお話ししましょう。

現在、所属している東日本旅客鉄道 大宮支社 大宮電力設備技術センターの役割は、列車の運行に必要な電気設備の保守・管理を行うこと。具体的には、発電所から送られる電気を変換する「変電所」と、その電気を電車や駅・信号等に供給する「電車線設備」「配電設備」のメンテナンスや工事に関する業務を行っています。

鉄道の電気設備というと、電車に電気を送るものをまず思い浮べる人が多いかもしれませんが、それだけではありません。

私が担当するのは、鉄道信号機や駅の照明、案内掲示板、自動改札などに電気を供給する配電設備の保守・メンテナンスです。

実際の工事や検査は、パートナー会社にお任せすることが多いので、私の仕事はデスクワークが中心。設備の修繕計画の作成や予算・スケジュールの管理、工事や検査に関する調整業務などを行っています。

いずれにしても私の仕事は、お客さまの安全や行動に直接影響を及ぼすものです。例えば、駅で電力トラブルが発生すると、自動改札や券売機が使えなくなったり、駅の照明が消えてしまうと、構内を歩いているお客さまが何かにつまずいて転んでしまったりしかねません。日々、問題が起きないよう、十分に配慮していても、想定外のトラブルは起こります。そのような際に、できるだけ早期に電力システムを回復させることも重要な業務の1つです。

設備保全は、一般のお客さまの目には触れない仕事ですが、“お客さまの安全や利便性を守るとても重要な仕事”だという誇りを胸に日々の業務に取り組んでいます。

いまも仕事に役立っている埼大の幅広い学び

現在の部署に配属される前は、駅改良工事や電車に電気を送る電車線設備の設計なども担当しました。ただ、入社以来、変わらないのは電気設備関連の技術者として働いてきたということです。

鉄道会社で働いているものの、元々、鉄道に特別興味があったわけではありません。そんな私がなぜJR東日本への入社を選んだのか? それは、学生時代にエキナカ施設が開業し、電車の乗降のためだけの場所であった駅が、新たな楽しみやサービスを創出する場となったのです。そして、そのような開発に携わりたいと考え、就職を希望しました。

技術系公務員の仕事をしていた父の背中を見て育ったこともあり、人の役に立つ仕事に就きたいと考えて、工学部に進学した私には、とても魅力的な仕事に思えたのです。

ただ学生時代は、工学部には女子学生が少なく、将来電気の分野でやっていけるのか、不安でいっぱいだったことを覚えています。しかし、この仕事を通じて「一つのものを世に送り出すには沢山の人が関わっていて、その人の得意分野や適性を活かせる仕事は意外とたくさんあるのではないか」と考えるようになりました。

学生の頃は、世の中にどういう仕事があるか、具体的なイメージがもてないものです。しかし、世の中は、実にたくさんの仕事で成り立っています。ひと口に電気関係の仕事と言っても沢山の分野がありますし、職種としての関わり方も様々です。私自身、電気設備の仕事が、鉄道会社内にあることを知ったのは、就職活動に取り組みはじめた後でした。

ちなみに、大学時代は「光エレクトロニクス研究室」で、半導体に関係する研究に携わっていました。結果的に専門とは直接関係ない電気設備の仕事に就いたのですが、社会人になってから、埼玉大学工学部 電気電子工学科(現電気電子物理工学科)で学んだことに助けられています。

埼玉大学工学部 電気電子工学科(現電気電子物理工学科)は、流行や最先端技術だけでなく、幅広い分野の基礎的な学びがカリキュラムに反映されているのが特徴。おかげで、仕事をこなすための最低限の知識やスキルが身についたことは言うまでもありません。

特に、工学部や理学部に進んだ女子学生は、私のように、将来、技術者や研究者としてやっていけるのか不安になることがあるかもしれません。しかし、学生時代に見えている世界は、実際の世の中のほんの一部。繰り返しになりますが、世の中には数多くの仕事が存在します。

女性や理工系に限ったことではありませんが、得意分野や適性を活かして輝ける場所は必ずあるものです。だからこそ「女性が少ないから」「活躍できるフィールドがなさそうだから」といった理由で、自分の好きな道に進むことや夢を追うことを諦めてほしくないですね。

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