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2022/02/01

地方公務員の仕事を通じて、すべての人が平等に活躍できる社会づくりに貢献

教養学部2015年度卒業生 溝口りかさん

Profile

東京都 教育庁指導部管理課溝口りかさん

淑徳与野高等学校出身
2016年3月 埼玉大学教養学部教養学科卒業
2017年4月 東京都入職

日本の首都で、世界有数の国際都市でもある東京。その行政サービスの提供を担う都庁は、「環境・産業・労働・経済」「福祉・保健医療」「教育・文化」「財政・税務」「都市づくり」など、多様な分野を扱う28もの局で構成されています。それ故、都庁に入職すれば、庁内の人事異動でも、局をまたげば全く異なった領域で仕事をすることになり、業務を通じて、経験の幅や視野を広げることが可能です。そんな都の仕事の魅力や働きがいについて、東京都職員として活躍する埼玉大学の卒業生に話を聞きました。

教育現場で実現したいことを事務的にサポート

生涯学習や教育、文化、スポーツなどの幅広い施策を展開するため、都道府県や市町村などには教育委員会が設置されています。東京都教育庁は、そんな教育委員会の事務処理を行う組織。その中で教育内容・方法の指導助言などを担当する指導部に所属しています。

私が主に担当している業務は、東京都立の中学校や高等学校、特別支援学校などを対象とした教育プログラムの予算執行管理や契約手続。例えば、都立学校に通う生徒の体力向上を目的に、学校にアスリートの方を招いて特別な講習を実施するとしましょう。その際に必要な書類の調製や契約手続を行うのです。

2021年度は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の競技を生徒たちが観戦する「学校連携観戦プログラム」の事務にも携わりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、プログラム実施までに難しい局面を迎えることもありましたが、ニュースや新聞で生徒が競技を観戦する様子を見て、自分の仕事が報われた気がしたことを覚えています。

さて、私が公務員を目指したのは「すべての人たちが平等に活躍できる社会づくりに貢献したい」という思いがあったからです。ただ、各府省への採用が前提になる国家公務員だと、業務内容は専門的になります。その点、様々な分野の業務を行う地方公務員は、幅広い領域の仕事を経験できるのが特徴の1つ。元々、色々な分野の仕事に携わることで、自分を成長させたい気持ちが強かった私は、特に組織が大きく、仕事の幅も広い東京都の職員を志望したのです。

入職後には、希望が通り、現在の部署に配属されましたが、教育庁への配属を希望したのは、まずは「すべての人たちが平等に活躍できる社会づくりのために、子どもたちの教育に焦点を当てた仕事をしたい」と考えたからでした。

公務員というと、堅苦しい雰囲気の職場で、一人で黙々と仕事をこなすというイメージがあるかもしれません。しかし、実際はそんなことはなく、私が配属されている部署は、若手が活躍していて、活気ある職場という雰囲気。周りの人たちとコミュニケーションを取りながら、チームで仕事を進めています。

現在は、目の前の仕事に全力で取り組んでいますが、将来は大学時代に培った語学力や留学経験を活かし、国際的な仕事にも携わりたいですね。そのような仕事をする機会が多いのも、東京都ならではですから――。いずれにせよ「世の中や人の役に立ちたい」という熱い思いがある人は、ぜひ入職を目指して欲しいと思います。

価値観を大きく変えたスウェーデンへの留学経験

埼玉大学を選んだ最大の理由は、幅広い領域の学問を学べる教養学部があったこと。「すべての学問は互いにつながっている」という意識があったので、できるだけ幅広く学びたいと思っていたのです。振り返ってみると、幅広い経験がしたいから都庁を就職先に選んだ理由と何となく似ていますね。

また、大学の規模がそれほど大きくなく、学内にアットホームな雰囲気があるのも、埼玉大学を選んだ理由の1つでした。実際に、先生と学生の距離が近く、キャンパスに行けば必ず知り合いに会うことができる環境で、入学前の印象は間違っていませんでした。

在学中は、むつめ祭(埼玉大学の学園祭)の運営を行う「むつめ祭常任委員会」の委員やテニスサークルの副会長を務めましたが、イベントや組織を裏から支える仕事は、現在の業務に通じるところがありました。協賛企業への連絡や催しを実現させるための細かい調整などの経験は、いまの仕事を行う上でも役に立っています。

そして、大学3年生の途中から1年間留学したスウェーデンでは、人生において最も刺激的な日々を過ごすことができました。

元々、公務員志望だったので、福祉国家として知られるスウェーデンには興味がありました。また、移民を数多く受け入れ、男女平等意識が高く、LGBTへの理解も進んでいる国の生活に直に触れたいと思い留学を決めましたが、留学したばかりの頃は、周りに日本人がおらず、正直「自分はマイノリティだ」という引け目を感じながら過ごしていました。そのような感覚を味わうこと自体、日本ではあまり機会がない貴重な経験なのですが、現地の人とのコミュニケーションを通じて、日本人としてのアイデンティティを認識できたのは、大きな収穫です。話してみると、みんな意外と日本に興味津々で、そのような環境の中に身を置くことで、改めて日本文化の素晴らしさなど色々な気付きがあったと思います。

なお、留学後に所属した内木哲也教授のゼミでは「社会には異なる価値観がある」という社会学の基本となる考え方を学びましたが、そのことを、身をもって体感できたのも留学して得た価値の1つだと考えています。

埼玉大学の後輩たちには、留学やサークル、アルバイトなど、なんでもよいので、自分が普段所属するコミュニティ以外でたくさん活動して欲しいですね。そのような経験をする機会は、社会人になると限られてしまうので、ぜひ大学時代に経験して視野を広げることをおすすめします。

埼玉大学なら、留学支援も整っていますし、全学部が1つのキャンパスに集約されていて異文化交流もしやすいので、そのような経験をするのにうってつけだと思いますよ。

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