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2023/03/16

【理学部】自らの手で生みだした化合物の構造や反応性を解明し、持続可能な社会の構築に貢献!

理学部基礎化学科/中田研究室

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  • 【理学部】自らの手で生みだした化合物の構造や反応性を解明し、持続可能な社会の構築に貢献!

理学部基礎化学科の中田憲男准教授の専門は、新たな化合物を人工的につくりだす合成化学の分野。現在はカーボンニュートラル実現に寄与する物質の研究に積極的に取り組んでいるとのことですが、門外漢には難しいイメージがあるこの研究の内容や魅力についてお話を聞きました。

有機化学と無機化学の中間に位置づけられる研究とは?

物質は、炭素が原子結合の中心にある有機化合物(有機物)とそれ以外の無機化合物(無機物)に大きく分けられ、前者を扱う化学分野が有機化学、後者を扱うものが無機化学と呼ばれます。私の研究は、いわばその中間に位置するもので、様々な元素を取り扱う(有機)元素化学や(有機)金属化学に関するものです。炭素から既存の有機化合物内の炭素を炭素以外の元素に置き換えるなどして、新たな化合物をつくりだし、その性質や機能を明らかにする研究を行っているのです。

なお、現在は、ケイ素やゲルマニウム、スズ、鉛など、炭素の同族元素にフォーカスした研究に注力しています。

具体的には、窒素や酸素、硫黄、リンなどの典型元素を含んだ“配位子”を開発し、それらを導入した無機物の性質や機能がどのように変化するのかを研究しています。

環境にやさしい社会を実現させてくれる化合物を開発?

では、実際にどのような化合物をつくるのでしょうか?

例えば、炭素とその同族元素は、結合の手が4本ありますが、その結合の手を2本や3本にした化合物をつくります。

なぜそのようなものをつくるのかというと、結合の手が少なければ、それを補おうとして新たな反応が起こる可能性があるからです。ここで見出された反応性をうまく利用すれば、これまでなかったような触媒反応を見出せるかもしれません。

プラスチックや医薬品の製造に利用される触媒には、白金やパラジウムなどの高価な貴金属が使われています。これらの金属は有限で貴重なものですが、私たちが研究対象として注目しているケイ素は、地球上で2番目に多い元素です。もしも、これを使って、化学的に貴金属の代わりになる触媒をつくることができれば、持続可能な社会の構築に貢献できるでしょう。

他方で、(有機)金属化学分野において私たちが開発したジルコニウム錯体は、ジェット燃料や軽油、潤滑油などの前駆体の製造に役立つ触媒として利用できることが分かっています。こちらは酸素と硫黄を導入した“配位子”を活用して生まれた化合物であります。“配位子”内の置換基の大きさを変更することで高活性な精密重合触媒へと展開でき、産業界における製造コストの軽減や省エネルギー化に寄与することが期待できるのです。

醍醐味は、誰も知らない化合物の姿を世界ではじめてみられること

実験では、異なる原子や分子を混ぜ合わせて、合成反応を起こし、新たな化合物をつくります。うまれた化合物はX線結晶構造解析装置で解析。分子レベルでその構造や結合の長さなどを明らかにしていきます。なお、私たちが扱う化合物は空気中の酸素や水と容易に反応するため、実験や解析などの作業は、化合物を空気に触れされないようにアルゴンという不活性ガスに満たされた箱の中で作業を行います。

元々、実験が好きだったこともあり、大学4年生の時に、この研究分野に進みましたが、初めて自分がつくった化合物の構造が視覚化された時の感動は今でも忘れられません。それ以来「世の中に存在しないものを自らの手でつくり、それを見てやろう!」という想いで研究を続けてきました。誰も見たことがないものを世界で初めて目にする喜びは、やはり何ものにもかえがたいものです。

最近では、計算科学を用いることで、化合物のより詳しい情報がわかるようになりました。そのような技術の進歩のおかげで、研究に対する興味はさらに深いものになっているのは間違いありませんね。

中田准教授より受験生へMessage

優れた研究者を育成する教育プログラムが自慢

 埼玉大学理学部では、入学すると基礎的な化学、物理、数学などをしっかり学ぶカリキュラムが組まれています。これらの教科は、自分が目指す専門分野と一致しない場合には、内容が難しく、講義についていくことで精一杯に感じるかもしれません。しかし、そこでの学びは、将来研究をする上で必ず役立つもの。つまり、埼玉大学理学部に入れば、研究者としての礎をきちんと身につけた上で、研究室に入り、専門性を高めることができるのです。
 とはいえ、大学卒業や博士前期課程修了とともに就職する学生が多いのが現状。学生にも事情があるのは承知していますが、研究者として高度な知識やスキルを身につけている学生が多いので、個人的には、正直「もったいない」と思うことはよくあります。
 ですので、埼玉大学理学部に入学した学生には、ぜひ博士後期課程まで進んで、世界に渡り会えるような研究者になってもらいたいと思います。

少人数で教員との距離が近い学習環境が魅力

 埼玉大学は、地方国立大学に分類される教育機関ですが、その中でも比較的小さい規模ながら、私たちのような研究者が研究に打ち込める環境が備わっているのが特徴の1つであることは間違いありません。
 また、私が取り組む研究分野では、理化学研究所(日本唯一の自然科学の総合研究所で、本部所在地が埼玉県和光市)から近い場所に立地していることもメリットの1つ。共同研究や資料の閲覧などがしやすいので助かります。また、埼玉大学の学生は真面目で勤勉なので、一緒に研究を行う上でも非常に頼りになるのもありがたいですね。
 学生にとっては、少人数性なので、私たち教員の目がしっかり届くところが、埼玉大学で学ぶメリットだといえるでしょうか。
 指導するにあたっては、学生の人数が多いと目立った成果をだす学生にばかり目がいきがちですが、埼玉大学くらいの人数なら、研究や勉強で行き詰っている学生も把握可能です。もし、そのような学生がいたら、研究テーマや指導方針を変更するという措置もとれるので、安心して研究や勉強に取り組んでほしいですね。

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