土屋 政幸教授

自分のオールは他人に任せるな

  • プロフィールPROFILE

    本学工学研究科修士課程の修了し、その後中外製薬に就職し、新薬研究所に所属しました。中外製薬ではこの年から遺伝子工学を活用した医薬品開発を始めました。つまり私は中外製薬のバイオ医薬研究の第一期生という事になります。そして入社1年目で第1種放射線取扱主任資格の国家試験に受かりました。その後、東京大学医科学研究所に派遣(国内留学)され、世界トプクラスの先生方に囲まれて白血級の一つである顆粒球の増殖因子のcDNAクローニングに世界で初めて成功しました。これは後の中外製薬の主力製品ノイトロジンとして医薬品市場に出ました。この研究にて、東京大学医学部より医学博士の学位が授与されました。1990年からは英国MRC研究所に留学派遣されました。そこでは、抗体工学技術をまなび、日本初第1号のヒト化抗体医薬品の開発に成功しました。この業績に対して、日本薬学会の創薬化学賞を受賞しています。その後、中外製薬に帰社後は、さまざまな組織長を経験して医薬品の研究開発からマーケティングまで幅広くい組織責任者として医薬品の育成に努めて来ました。そして2018年に埼玉大学認定のスターアップベンチャーEME社の取締役CTOに就任して研究の拠点を埼玉大学に移しました。EMEでは独自に人口設計のヒト化VHH抗体ライブラリーの構築に成功し、現在のEMEビジネスの基盤となっています。 中外製薬を辞めてEMEに移籍したのは、次世代抗体医薬の開発をしたく、さまざまの創薬モダリティの開発を行ってきました。近い将来VHHを用いた次世代抗体医薬が登場することでしょう。

  • 経歴CAREER
    1983年4月 中外製薬(株)入社 新薬研究所配属され、遺伝子工学を用いた探索研究を開始。G-CSFの探索研究に着手
    1884年1月 東京大学医科学研究所化学研究部(上代淑人教授)の研究生
    指導教官は、現大阪大学免疫フロンティア研究所の長田重一教授のもとで分子生物学の研究手法を学ぶ。ヒトG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)cDNAのクローニングに成功した(後の中外製薬の造血製剤ノイトロジンの開発につながる。その後、ヒトG-CSF染色体遺伝子の単離、マウスG-CSFcDNAクローニング、およびマウスG-CSF染色体遺伝子の構造を明らかにした。約3年間、G-CCFの研究に従事してその全容を明らかにした(後の学位論文として東大医学部に報告)
    1987年4月 中外製薬(株)富士御殿場研究所 新薬研究所研究第2部に帰社 バイオ医薬研究に従事
    1989年12月 学位取得 東京大学医学部にて審査(村松正美教授を主査とあいて浅野重隆教授、教授らによって学位審査を実施)
    1990年9月 英国Medical Research Council(MRC)ロンドンの留学し、抗体工学の研究に従事。2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたDr. Grerory Winter氏が統括する抗体工学の研究部に所属した。この時、大阪大学の岸本先生と共同研究を行っていたIL-6中和抗体をMECに持ち込んで、ヒト化を成功させて(後のアクテムラ)
    1992年8月 中外製薬御殿場研究所 創薬研究所の記社。次々とマウスモノクローナル抗体をヒト化。
    2001年 日経BP賞受賞 ノイトロジン(G-CSF)の開発研究
    (長田重一、土屋政幸等)
    2002年2月 中外製薬(株)創薬企画推進部長に就任し、ロシュ社との統合の準備要員として活動
    2002年10月 ロシュ。中外の統合によって新設されたゲノム抗体創薬研究部の初代部長に就任。東大先端科学研究センターの児玉教授とともにゲノム抗創薬の共同研究を展開。グリピカン3をはじめ数々の抗体標的分子の同定を進めた。
    2004年4月 中外製薬(株)本社機能に移動。製品戦略部に勤務。この間、東大先端研との共同研究を強化するために、東大駒場敷地内に、未来創薬研究所を設立し、取締役に就任。
    2005年3月 中外製薬(株)創薬企画推進部長に就任
    2006年5月 中外製薬(株)経営企画部にて業務
    2007年3月 中外製薬(株)腎臓領域部の部長に就任。腎臓領域の薬剤の臨床開発に取り組む。特にロングアクチィング製剤のミルセラの開発に成功。
    2007年3月 日本薬学会 平成19年度 創薬科学賞 受賞
    トシリズマブ(ヒト化抗IL-6受容体抗体)の研究開発
    岸本忠三、大杉義征、土屋政幸
    2008年 ライフサイクルマネジメント第3部長に就任。本格的に戦略マーケティングの業務に従事。がん以外の開発製品のすべての製品のマーケット戦略の責任者
    2008年 日経BP賞受賞 アクテムラの研究開発 (岸本忠三、土屋政幸等)
    2015年 一般社団法人 中外オンコロジー学術振興会魏に出向
    主幹社員として患者会会議の運営、国際シンポジウムIAAOの企画・運営を担当。世界的に著名ながん研究者との交流
    2018年 中外製薬を退社 同時に(株)EME取締役CTOに就任し、次世代抗体医薬の開発研究に従事。ヒト化VHH抗体ライブラリーの構築に成功、アゴニストVHH抗体の創薬に成功など、数々の実績を上げる。
    2023年4月 埼玉大学大学院理工学研究科の教授に就任
    (株)EME常務取締役CTOに昇進
    2023年8月 現在に至る
  • 所属会社AFFILIATION
    株式会社Epsilon Molecular Engineering
    (所在地は埼玉大学内のオープンイノベーション研究棟)
    https://www.epsilon-mol.co.jp/
  • 現在行っている授業についてLECTURE

    社会人として成功する生き方について様々な観点から指導しています。
    今更聞けない内容で構成してます。特に医科学に関する知識、特許の知識など、社会人として基本的な能力の醸成の必要性を指導しています。

  • 学生に一言MESSAGE

    『自分のオールは他人に任せるな』という言葉をその意味を込めて学生には積極的に自己研鑽を続けて頂きたい。

実務家教員紹介

様々な分野で経験を積んできた実務家教員が、 将来社会人になる学生に役立つ知識や技能を伝えます