新井 正敏教授 博士(工学)

企業の研究とは
大学基礎学力を適用した創造と探究

  • プロフィールPROFILE

    (株)富士通研究所ならびにMarelli(株)で30年以上研究職を経験してきました。大学の研究と企業の研究の違いは、前者は学生が学費を払って好きな研究をするのに対し、後者はお金を頂いて企業が儲かる研究をすることです。
    企業は慈善事業では成立しません。売上を上げるためには他社にない研究をスピーディーに実用化してモノにする必要があります。実用化するには、生産現場とともに研究を行う必要があります。このため、研究室で一人で作業するのではなく、チームワーク、リーダシップ、高い独創性と探究心が求められます。
    またスピーディーに研究を行うために、企業はモデルベース開発を導入しています。このモデルベースとはPCでモノの設計を行うもので、プログラムコードは基本書きません。
    また、機械の知識だけでなく電気や化学の幅広い工学の知識や学力が求められます。これらの学力は高校ならびに大学初等の数学や工学の知識がしっかり身についていれば適用できます。ただし、暗記した知識ではなく、使える知識が研究職としては求められます。

  • 経歴CAREER

    2001年まで ㈱富士通研究所 三次元コンピュータグラフィックスの研究
    2001年 カルソニックカンセイ(株)(現Marelli(株))入社 
    車載メータ等電子機器の研究開発、モデルベース開発の推進者
        テクノロジオフィサ(マスタアドバイザ)として現在に至る
    2015年 埼玉大学大学院 教授を兼務 現在に至る
    京都大学、東京農工大学、電気通信大学、豊橋技術科学大学 非常勤講師
    2020年、2021年 埼玉大学 ベストレクチャー賞受賞
    2022年 慶應義塾大学博士課程 副査

  • 所属会社AFFILIATION
    マレリ株式会社
    https://www.marelli-corporation.com/ 
  • 現在行っている授業についてLECTURE

    学生の皆さんにとって、中学の大イベントは高校受験、高校の大イベントは大学受験だったと思います。就職受験という言葉はありませんが、これから多くの学生は経験していくことになると思います。就職受験を経験し、現役でエンジニアを行っている実務家教員に求められているのはこの就職受験を成功させることだと思っています。
    まず、就職受験する前に企業はどのような活動を行っているのか、研究をおこなっているのか、どのような人物を求めているのかを授業で示します。その上で、大学の基礎学力がいかに大切で応用されているのかも示していきます。
    モデルベースについては大学に導入したツールを単に操作するのではなく、基礎学力の必要性も示しながら体感して頂きます。必要に応じて、様々な企業のOB/OGやエンジニア/リーダを非常勤講師としてお招きして説明して頂きます。

  • 学生に一言MESSAGE

    2011年3月11日大震災が起きました。そして、コロナ禍、人生何が起こるか分かりません。しかし、常に今できることをポジティブに行うことで、良い経験として今後の人生の役に経つと思います。大震災の時、多くの企業は電力を一般家庭に融通するため、土日出勤、平日3連休でした。このピンチをチャンスにしようと、大型二輪から大型トレーラまで車の免許全て取りました。その後、業務で大型車の仕事にも使え、仕事の幅が広がりました。
    そして今回、コロナ禍で、添付のような工学本を2023年6月25日に出版することにしました。100ページを超える特集かつPC(Win, Mac)のデモとビデオが付くことは初めての挑戦でした。これは埼玉大学の学生や院生に教えてきた集大成で、いかに数学が工学に活かされるかを示すものです。皆さんもピンチをチャンスに変えて人生の幅を広げましょう。その結果は就職受験のエントリーシートで最強な武器になるはずです。

    Interface 2023年8月号

    CQ出版HP
    https://interface.cqpub.co.jp 
    • 本画像のタイトルや表紙デザイン、イラスト、内容等はすべて仮であり、発売時には変更される可能性があります。

実務家教員紹介

様々な分野で経験を積んできた実務家教員が、 将来社会人になる学生に役立つ知識や技能を伝えます