2022/09/28
「科学者になりたい」という、小・中学生の夢を後押し!
「科学者の芽育成プログラム」の運営に携わって学生たちが学んだこと
2022/09/28
「科学者の芽育成プログラム」の運営に携わって学生たちが学んだこと
須田亮介さん
大学院理工学研究科 修士1年
(埼玉大学理学部卒業。さいたま市立浦和高等学校出身)
柳澤健斗さん
大学院理工学研究科 博士2年
(埼玉大学理学部卒業。さいたま市立大宮北高等学校出身)
丹間梨温さん
理学部物理学科 4年
(埼玉県立川越高等学校出身)
埼玉大学大学院理工学研究科では、毎年、「科学者の芽育成プログラム」という、小学5年生~中学3年生を対象にしたセミナーを開催しています。これは科学に関する専門的な学習機会を子どもたちに提供するものです。小・中学生を対象とした「科学者の芽」活動の主要な部分は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の「ジュニアドクター育成塾」事業に採択され(平成30〜令和4年度)、その支援を受けて行われています。そして、このプログラム、運営に埼玉大学の学生が携わっているのも特徴の1つ。ここではそんな運営支援を担当する学生たち3名の声を紹介します。
「科学者の芽育成プログラム」では、受講生は、大学の先生による講義を受け、実験を行います。その目的は、小・中学生のうちに最先端の科学に触れることで、科学に関する好奇心や学習意欲、能力を成長させることです。
実際、私たち3名とも、かつて、このプログラムに参加した受講生。埼玉大学に入学したのも、科学の道に入ったのも、そんな経験があったからこそです。
恐らく、当時の私たちがそうだったように、受講生のほとんどは、科学者になりたくても、具体的に何をすれば夢を叶えられるのかわからない子どもたちだと思います。
そんな受講生にとって、大学の先生や私たちのような大学生、さらには科学に興味のある他の子どもたちとの交流は、とても意義深いものだと思います。つまり、このプログラムは、科学者になるための「道標」を示すものなのです。
「科学者の芽育成プログラム」で、埼大生が担う役割には、子どもたちのグループ研究の指導にあたる「メンター」や、実験のサポートを行う「実験補助」などがありますが、その中で私たちが担当するのは「運営支援」。
具体的な業務内容は、講座当日の受付や参加者の案内、オンラインで講座が行う際の配信機材のセッティングと操作、さらにはWebサイトのコンテンツ作成、講座内容の企画立案など多岐に渡りますが、この仕事の魅力は、子どもたちの成長を肌で感じられるところです。
例えば、実験補助の場合、プログラムに参加するのは、実験が行われる時のみ。その点、運営支援なら、1年を通してプログラムに関わります。講座の様子を撮影したり、子どもたちが提出するレポートを取りまとめるのも、私たちの仕事の1つですが、その際に子どもたちからの質問内容やレポートの内容のレベルが徐々に上がっていることが実感できるのです。
さて、例年、夏休み期間中には、プログラムの一環として「1日大学生」というイベントを行っています。ここ数年は新型コロナの影響でイベントの規模も限定されたものでしたが、今年度は久しぶりの本格開催ということもあり、100名近い受講生が集まる盛況ぶり。
その分、私たちの仕事も大忙しでした。それでも、子どもたちが目を輝かせながら、先生の話に耳を傾けている様子を目の当たりにすると「頑張ってよかった」と思います。また、純粋に「科学者になりたい」という夢を追いかける子どもたちを見ていると、自然に応援したくなりますし、自分にとっても励みになりますね。
いずれにせよ、かつての自分たちに貴重な経験をさせてくれた「科学者の芽育成プログラム」に恩返ししたいという気持ちで、運営支援の仕事に取り組んでいます。
仕事をする上で心がけているのは、受講生の目線に立ってコミュニケーションをとること。それに加えて、受講生に対する配慮はもちろん、教壇に立つ先生の負担をできるだけ軽減することも意識しています。例えば、オンライン配信を行う際、講義がしやすいように新たな配信機材を導入したり、色々なセッティングを試したり、工夫を凝らしているのです。そのようなことを続けてきたおかげで、受講生や保護者の方、そして先生方から感謝の言葉をいただく機会も増えました。
運営の支援業務に携わっていると、想定外のことがしばしば起こるので、臨機応変に対応することが必要です。そのような経験を通じて、柔軟な対応力という社会で求められるスキルが身についたと思います。
最近、研究者には、アウトリーチ活動(一般の人にわかりやすく研究内容を伝えること)が求められるようになりました。運営支援を通じて、小・中学生や保護者の方とコミュニケーションを取ることは、そんな活動に求められる能力を磨くことにも役立ちます。
子どもたちの成長を促すプログラムの運営に携わることで、私たち自身も成長しているのは間違いありません。
受講生である小・中学生も、私たち大学・大学院生も、成長のためには、失敗を恐れず挑戦し続けることが必要なのは同じです。「科学者の芽育成プログラム」の運営支援に携わるのも、そんな挑戦の1つになるのではないでしょうか? 埼玉大学の理学部、工学部の学生になったなら、ぜひ経験して欲しいと思います。