2020/08/29
【教育学部】少子高齢化が進む日本社会の課題の1つ、老化による疾病発生のメカニズムを解明
教育学部 学校保健学講座 / 西尾研究室
2020/08/29
教育学部 学校保健学講座 / 西尾研究室
2003年 早稲田大学人間科学研究科博士後期課程修了
2009年 名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学教室COE研究員
2012年 名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学教室特任助教
2015年 名古屋市立大学大学院医学研究科細菌学分野研究員
2018年より現職
「病気はすべて免疫で語れる」という研究者がいるほど、免疫というのは病気の発症と深く関わっています。つまり、免疫を研究すれば、色々な病気について発症のメカニズムを知ることが期待できるのです。
そんな免疫の研究の中で、私は老化に特化したテーマに取り組んでいます。専門的には老化関連疾患と呼んでいますが、糖尿病や動脈硬化など、加齢とともに発症のリスクが高くなる、いわゆる生活習慣病が発症するメカニズムや、老化のメカニズムを、マウスを使った実験によって解明する研究を行っているのです。
最終的には、この研究の成果によって、生活習慣病や老化などの予防に役立てられることが期待されます。少子高齢化が進む現在、高齢の方が健やかで幸せな人生を全うできる世の中を実現することにも貢献できるでしょう。 具体的には、「GADD34」というたんぱく質が欠損しているマウスを使った研究に取り組んでいます。このマウスは、老化関連疾患を発症しやすいことが分かっているため、「GADD34」と老化関連疾患の関連を解明しようとしているのです。
私の見解では、免疫細胞の老化には、ストレスと食生活が大きく影響していると考えています。ここでいうストレスとは、生体に対する刺激のことで、運動や睡眠、太陽光などから受けるものを含みます。ただ、感染症にかからないと免疫力を得られないように、免疫を高めるには、このようなストレスが全くないのは好ましくありません。そこで、ストレスが「どこまで必要で、どこから必要ないのか」という最適なラインについて、明らかにする必要があると考えています。この研究の醍醐味は、取り組めば取り組むほど、新たな疑問や課題が出てくるところですね。特に生物を使った実験では、不思議なことに直面することは珍しくありません。まさに好奇心を掻き立てる研究だと言えるのではないでしょうか?