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2026/01/07

【工学部】レーザー光で社会課題を解決!

工学部 電気電子物理工学科/塩田研究室

欠陥のある製品や、がんなどの病気をいち早く発見する――。本学工学部の塩田達俊准教授が取り組むのは、このようなことを可能にする研究。レーザー光を使って、モノや身体の状態を一瞬で確実に把握する夢のような技術の確立を目指す、研究の概要や意義について、塩田准教授に語っていただきました。

確率頼りの検査からの脱却を目指して

家電やスマートフォンなど、私たちの身の回りにある製品は、どれも安全に使えるように厳しい検査を受けています。しかし、このような製品検査の世界では、すべての製品を検査するのはとても大変。

なぜなら現在の検査機器の多くは「細部と全体を一度に把握するのは難しい」からです。

細部を詳しく見るためには顕微鏡のようにズームインして観察する必要がありますが、その場合、検査できる範囲は極めて狭くなります。逆に製品全体を俯瞰すれば、細部が見えなくなる。つまり現在の検査技術では「細かさ」と「広さ」を同時に満たすのには限界があるのです。

このような状況下で厳密に検査を行おうとすると「スピード」を担保するのが困難になります。製造ラインでは毎秒のように新しい製品が流れてきますが、1つひとつを確認していたら時間がかかるため、製造ラインのスピードを遅くしたり、場合によっては止める必要が出てきます。そこで、多くの製造現場では「ある程度の欠陥は仕方ない」と割り切り、例えば「100個に1個、欠陥があっても許容範囲」としていることが多いのです。

私が取り組んでいる研究は、このような検査の常識を打ち破るものです。レーザー光を使って対象物に触れずに「細かさ」「広さ」「スピード」を同時に満たす検査技術の確立を目指しています。この技術が実用化されれば、従来は不可能だった「全数検査」の実現が可能です。

モノの状態を一瞬で“見える化”する光の力

具体的には、照射したレーザー光の反射光の情報から対象物の形や色などを計測する技術の開発を行っています。

私たちが見ている光は、実はさまざまな波の集まりです。プリズムを通すと虹色に分かれるように、光は色ごとに分解できます。

対象物にレーザー光を当てて反射した光を分解すると、その物体がどんな色を持つかが分かります。さらに、各波の“大きさ(振幅)”や“進み具合・タイミング(位相)”を調べれば、光がどこで反射したのか、どんな形をしているのかまで読み取れるのです。

つまり、反射光に含まれる情報を解析することで、対象物の色や形、さらには状態までも「見える化」できるということ。この技術を製品検査に応用すれば、どんなに小さな異常も一瞬で検知でき、従来は難しかった全数検査も可能になるのです。

さらに、製造現場にとどまらず、医療など幅広い分野での活用も期待できます。例えば、がんのような病変を早期に発見する診断技術に応用すれば、これまで見逃されがちだった初期段階のがん細胞も検出でき、早期治療につなげられるのはいうまでもありません。

異分野を結集する研究室の学び

測定装置の開発に加え、レーザー光そのものの性質やメカニズムの研究にも取り組んでいます。

実は、レーザー光は1960年代に誕生した、まだ歴史の浅い技術。未解明の部分が多く残されているからこそ、その性質を解き明かすことは研究を前進させるために欠かせない視点なのです。

目標は、社会に新しい「計測のスタンダード」を提供することです。従来の検査技術は電子現象を利用するエレクトロニクス技術を活用したものが中心ですが、先にお話したように処理速度には限界があります。しかし、光は、その限界を打ち破る可能性を秘めています。

レーザー光による「何でも測れる世界」が実現すれば、私たちの生活や社会は大きく変わるでしょう。そのような未来を思い描きながら、日々研究を進めています。

塩田准教授よりMessageMessage

未来を切り拓くエンジニアになるために

 研究室では、検査システムの設計・構築はもちろん、制御プログラムやデータ解析プログラムの開発にも取り組みます。こうした経験を通じて、エンジニアリングにおけるハード面とソフト面両方を扱う力を養うことが可能です。学生の皆さんには、社会で求められるスキルやノウハウ、そしてセンスを身につけて、将来は今までにない製品や技術を生み出すエンジニアとして活躍することを願っています。
 また、これから埼玉大学に入学する受験生の皆さんには「社会課題と向き合う志」を持ってほしいですね。日常で感じる違和感をポジティブに変えていく姿勢こそが、研究の原動力となるからです。ぜひ「よりよく社会を変えたい」という気持ちを胸に、学業や研究に取り組んでください。

仲間を尊重し合う理想的な学びの場

 研究機関としての埼玉大学は、実直に研究に取り組む先生方が多い印象。研究者同士が互いを尊重し合い、切磋琢磨する組織風土が根付いているのは、私のような研究者にとっては非常にありがたいです。研究に打ち込みやすい環境だと思います。
 そのような雰囲気は、学生の間にもありますね。普段から議論を交わしたり、ノートを見せ合ったりして学び合う姿をよく目にしますが、互いを尊重し、一緒に高め合う文化が根付いているのは本当に素晴らしいことだと思います。
 工学部では横断的なカリキュラムや課題解決型の学びが用意されており、社会に求められる幅広いスキルやノウハウを身につけながらリーダーとしての素質を養うことが可能です。こうした環境で学ぶ4年間は、学生の皆さんにとって大きな価値があると信じています。

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