埼玉大学

カリキュラムの構造と学修の実際

カリキュラムの構造

分類 共通科目(5領域) 実地研究Ⅰ・Ⅱ 課題研究Ⅰ・Ⅱ サブプログラム科目 選択科目

終了案件
単位配分

16単位以上 10単位 4単位 10単位 6単位以上
46単位以上

各科目の内容

 共通科目で取り扱う内容は
「教育課程編成」「教科指導」「生徒指導・教育相談」「学級経営・学校経営」「学校教育と教員の在り方」の5領域です。

このうち、
「教育課程の課題探求」(2単位)
「教育経営の課題探求」(2単位)
「教科指導の課題探求」(2単位)
「生徒指導・教育相談の課題探求」(2単位)
「学校と教職の課題探求」(4単位)
の計12単位は学生全員が必修となります。

 上記5科目に加え、各プログラム(サブプログラム)ごとに開講される「共通科目4単位(※)」を履修し、計16単位以上を履修する必要があります。
※共通科目5領域のどれかに該当するもの
《実地研究Ⅰ》
 学校の教育活動全体について総合的に体験し、教育実践上の課題に対するより効果的な思考法と対応力を身につけます。
【学卒院生】
 教員免許を保持した一教員として学部教育実習よりも深い教職への参加「高度な学校実習」(インターン的参加)となります。
 埼玉県内の連携協力校、協力校、附属学校園の中から保持する免許状、実施研究課題に対応した実習先を選定します。
【現職教員】
 自らの計画に従い、個々の探求のテーマに沿った様々なフィールドへ訪問学習を行います。


《実地研究Ⅱ》
【学卒院生】
 実地研究Ⅰ及び課題研究Ⅰにより深めた学校教育に対する課題意識を基に、課題研究Ⅱとの往還、連携協力校等での実践をとおして、研究テーマに関する課題の解決策を立案する能力及び解決のための実践力を高めます。
【現職教員】
 2年次には、勤務先において課題解決に向けて実践的に研究を継続する。学校課題の明確化とその分析を基に、実際に校内校外と協働して課題解決に取り組む力量や授業改善、また、様々な教育的ニーズに応じた適切な学習支援等を組織的にリードし、学校全体の授業力向上や学習支援等の充実を図る力量を養います。
 なお、特別支援教育サブプログラム、学校保健サブプログラムに所属する院生は、「実地研究(特別支援教育)Ⅰ 、Ⅱ 」「実地研究(学校保健)Ⅰ 、Ⅱ 」を履修し、特別支援教育、学校保健に関わる実践力を高めます。
《課題研究Ⅰ》
 ①教育課程、②教科指導、③生徒指導及び教育相談、④教育経営、⑤学校教育と教員の在り方について、実地研究Ⅰでの幅広い実践経験の中から具体的な課題意識を明確化することを目標としています。指導教員との協議のもと、定期的に教育実践のリフレクションを行いながら、研究実践をまとめます。

《課題研究Ⅱ》
 課題研究Ⅰを通して明確にした課題を解決する具体的な方策を立案し、実践を通してその検証を行うことを目標とします。学校教育現場での課題解決のための理論と技術を検証・実証し、課題研究報告書をまとめます。

 なお、特別支援教育サブプログラム、学校保健サブプログラムに所属する院生は、「課題研究Ⅰ・Ⅱ(特別支援教育)」「課題研究Ⅰ・Ⅱ(学校保健)」を履修し、特別支援教育、学校保健に関わる実践力を高めます。
 サブプログラムごとに設定した必修または選択必修の科目です。

 共通科目を土台として、希望する領域や研究テーマに即して選択できる科目を設定し、実践的課題に対応できるようそれぞれの専門性を高める科目となっています。
 「左記の「サブプログラム科目10単位」以外の全サブプログラム科目及び「現代的・地域的教育課題の共同探求」から選択します。

主な科目紹介

「学校と教職の課題探求」

 共通科目で取り扱う領域のうち「学校教育と教員の在り方」に対応する科目です。
 この科目では、学校と社会に関する特定の現代的・地域的諸課題を設定し、各自が拘わる学校のなかでそれぞれの課題がどのように現れ、教師がどのように引き受け克服してい くことができるかを共同的に探究します。
 さらにこの科目では、実地研究での学校の経験に基づいた省察と対話をふくむ「グループカンファレンス」を実施します。 大学教員が協働して院生の実地研究に関する振り返りを定期的に行い、院生は自らの実地研究での経験、学び、課題の具体的事例をグループ内で討議します。この活動を通じて、院生は今後の実地研究で取り組むべき改善や工夫について明確な指針を得ながら、効果的な理論と実践との往還を実現していくのです。
「学級づくり論」

※学校構想サブプログラム科目
 教師のまなざしは子どもの自己形成にどのような作用を及ぼしているのか、教室を子どもたちが共に学ぶ場にしていくために教師はどのような実践的知恵を発揮しているのか、具体的な教育実践の事実に即しながら、今日した養う学級づくりの実践的知恵を臨床的かつ共同的に明らかにします。
「現代的・地域的教育課題の共同探求」
 この科目では、教育に関わる現代的かつ横断的な問題、地域の課題に関して多様なスタッフや院生が課題設定から成果公表の過程を協議し、グループでの研究を行います。
 学校を中心としてフィールドを行き来しながら、問題を多角的に検討することや、エイジェンシー(機関)へのインタビューやそれに基づいたワークショップの開発を内容としています。
 研究内容は教職大学院フォーラムの場で公開する等、広く情報発信をするとともに研究への参加者の輪を広げていきます。

時間割の設定

 原則として、以下のような時間割を設定する。全員の必修科目の共通科目(青色)はシード科目として固定。サブプログラムが開設する共通科目と課題研究(水色)は、必修としてそれぞれのタームで開講するが、開講の曜日と時限は固定されない(下記は一例)。

第1・2ターム(A・Bはクラス分け)

 
ターム 第1 第2 第1 第2 第1 第2 第1 第2 第1 第2
1限 教科指導の
課題探求A

生徒指導・教育相談の課題探求B
生徒指導・教科相談の課題探求A

教育指導の
課題探求B
共通科目
(サブプログラム開設)
共通科目
(サブプログラム開設)
M1現職は実地研究Ⅰで
学校等学外へ
M2学卒は実地研究Ⅱで
学校等学外へ
2限    
3限      
4限   課題研究Ⅰ・Ⅱ 教育経営の
課題探求A

教育課程の
課題探求B
教育課程の
課題探求A

教育経営の
課題探求B
5限 学校と教職の課題探求 探究活動演習Ⅰ・Ⅱ

第3・4ターム

 
ターム 第3 第4 第3 第4 第3 第4 第3 第4 第3 第4
1限   (サブプログラム科目)   M1学卒・現職は実地研究Ⅰで
学校等学外へ
2限 (サブプログラム科目)   (サブプログラム科目)
3限 (サブプログラム科目) (サブプログラム科目) (サブプログラム科目)
4限 現代的・地域的教育課題の共同探求 課題研究Ⅰ・Ⅱ (サブプログラム科目)
5限 学校と教職の課題探求 探究活動演習Ⅰ・Ⅱ  

プログラムの履修モデル

総合教育高度化プログラム

教科教育高度化プログラム

総合教育高度化プログラム

教科教育高度化プログラム

実地研究について

1. 実地研究(学校における実習)とは

【学卒院生】
 学校の教育活動全体について総合的に体験し、教育実践上の課題に対するより効果的な思考法(省察)と対応力を身につけることを目的とする。学部の教育実習よりも深い教職への参加=「高度な学校実習」(インターン的参加)であり、埼玉大学教職大学院における理論と実践の融合を目指すカリキュラムの中核に位置付けられている。
 実地研究Ⅰは1年次後期に週2日×8週間の計16日間、実地研究Ⅱは2年次前期に週2日×12週または週4日×6週間の計24日間を実習校での教育実践の中で学び、本学での学びや研究活動と往還させながら教育の専門性を高めていく。本科目の単位修得は,大学院の修了要件となっている。

【現職院生】
 現職教員の実地研究ではすでにある課題意識を研究テーマへと精緻化する実践的な研究のための実習活動ととらえ、様々なフィールドワークの計画・実施を通して、児童、生徒の発達理解と学校教育の全体構造とを改めて関連づけ、学校教育における実践研究を円滑に実施できるように設定している。
 現職教員の実地研究Ⅰは年間を通してフィールドワークを行う。本科目の単位修得は,大学院の修了要件となっている。

2年次の実地研究Ⅱは、

○短期履修制度を適用した場合、これまでの勤務校での教育活動実績に対する審査を経て学校における実習部分の6単位が免除となり、実地研究Ⅱの6単位が認定単位となるため行わない。

○短期履修制度を適用しない通常年限在籍の場合は(1年次は派遣・休業制度利用して2年次は現場復帰しながら指導を引き続き受ける場合)、学校課題を踏まえた院生個人のテーマに関する実践的な研究の深化を図るものとする。(週2日24日間)

埼玉大学教職大学院における実地研究(学卒院生)の位置づけ

科目名(時期) 実習校での実践研究活動 大学院での研究活動
実地研究Ⅰ実習(1年次 後期) 期間:週2日木・金×8週の計16日間
ねらい:学校教育における実践を深く理解することを目標とし、実地研究校で実習を行う。 深化 往還
課題研究Ⅰ
児童生徒実態及び発達の理解と学校教育の全体構造とを関連づける
実地研究Ⅰ実習(2年次 前期) 期間:原則週2日木・金×12週、(または週4日火・水・木・金×6週の計24日間等)
ねらい:実地研究Ⅰにおける気づきをより深める形で学校の様々な教育場面における多様な教育実践に臨床的に関わることを意図する。
課題研究Ⅱ
実践の成果をもとに、各自設定した研究テーマの深化につなげる。
期待される成果 学校組織の一員としての実践力の向上、研究活動の深化、まとめ

2.「実地研究」と「教育実習」の違いについて(実習校の具体的な役割)

 「教育実習」は、教員免許状修得のための実習で、授業の行い方、指導案の作成の仕方など学校現場での授業実習を中心とした学びである。
 一方、教職大学院の「実地研究」は、既に教員免許状を修得した院生が、単に教育実習の延長としてではなく、実習校における教育活動全般について総合的に体験するものである。学校現場で生起している様々な課題・問題を解決するための方策を主体的に研究する高度な実務実習となる。院生は「実地研究」にあたって、理想とする教師像を明確にし、その教師像に近づくために何が必要となるのかを思考しながら教育活動に参加する。院生も学校を支えていく教員の一員であるという意識をもって実習を行う。
 実習中は、実地研究を円滑に実施するため、大学院の指導教員が実習校を複数回訪問し、院生の実習の状況を把握するとともに、院生に対する学修の指導を行い、実習校にも研究成果を還元できる実習となるように努める。また、大学における事前・事後指導、様々な授業科目内での振り返りの指導、大学院指導教員による個別指導などを通じて、院生の実践的な力量形成を行う。 

3. 実習校における院生の学修と実習校の対応(内容)

基本的には、実習校の教員と同様の日程で実習を行う。以下、具体的に実習校においてどのような学修を行うのか例示する。

①学校の教育活動全体について総合的に体験することに関して
〇指導教員または学校が指定した教員、学級児童生徒と行動を共にし、教育活動を体験する。
・授業以外の朝の会、帰りの会、給食、清掃、学校行事、クラブ活動も体験する。
・実習校の判断により、部活動等も体験する。

〇体験の形態としては授業や実際の指導、教員の指導の補助、教員の指導や児童生徒の活動の観察が挙げられる。また試験監督、自習監督、少人数指導・個別指導を任されることがある。この他、実習校の判断により、校内研究・研修、地域連携行事、職員会議、校務分掌会議等に参加できることがある。

②省察力と対応力を身につけることに関して
〇実習校で体験したこと学修したことを記録文章化して省察を深める。
〇課題・問題の解決に向けて、指導教員などからアドバイスを受けたり協議したりする。
〇共通科目「学校と教職の課題探求」におけるグループ・カンファレンスで省察を深める。

4. 大学院指導教員の実習校への訪問指導等

実習期間中に、院生の大学院指導教員が複数回実習校に赴き、訪問指導を行う。この他、大学における事前・事後指導、様々な授業科目内での振り返りの指導、大学院指導教員による個別指導を受ける。 

5. 実地研究実施の流れ

(1)実地研究Ⅰ(学卒1年次)

時  期 内  容
~3月 実地研究Ⅰ実習校先の希望聴取と実習校の決定
6月下旬 支援室から出勤簿、評価票など関係文書を学校に発送
~8月中 事前指導 大学院指導教員と実習院生が実習校を訪問し、挨拶と実習内容打合せ
9月末~10月 週2日(木曜・金曜)計16日間の実地研究(学校における実習)実施
12月 最終報告会の開催
時  期 内  容
~1月 実地研究Ⅱ実習校先の希望聴取と実習校の決定
2月下旬 関係教育委員会、実習校に正式依頼
2月~3月 事前指導 大学院指導教員と実習院生が実習校を訪問し、挨拶と実習内容打合せ
4月中旬~7月中旬 週2又は4日、計24日間の実地研究(学校における実習)実施 6月頃に中間報告会開催
7月末 最終報告会の開催

(3)実地研究Ⅰ(現職1年次)

時  期 内  容
4月初旬 事前指導                                                          
4月中旬 通年計画書提出 フィールドワーク開始                                            
7月末 前期報告書提出  学卒院生最終報告会に参加                                          
10月初旬 後期計画書提出                                                       
12月 学卒院生最終報告会に参加                                                  
2月初旬 最終報告会の開催

(4)実地研究Ⅱ(現職2年次/通常年限在籍者で現職復帰者)

時  期 内  容
4月 現職復帰
4月初旬 事前指導
同上 学部支援室(事務)から出勤簿、評価票など関係文書を学校に発送
4月中旬~7月中旬 週2日間、計24日間の実地研究(勤務校) 実施
7月末 最終報告会に可能な限り参加

埼玉大学大学院教育学研究科
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