埼玉大学理学部

学部長挨拶・沿革

学部長挨拶

 埼玉大学理学部は、数学科、物理学科、基礎化学科、分子生物学科、生体制御学科の5学科で構成されており、高等学校でいうところの数学と理科を幅広く学ぶところです。専任教員は教授から助教まであわせて75名が在籍して、1学年定員210名の教育にあたっています。理学部の教育でもっとも大切な卒業研究も、一人の教員がみる学生は平均して3名となり、密度の高い教育研究をおこなえる環境であります。特に卒業研究では、知識や考え方を学ぶ(「学修」する)のではなく、あるテーマに対して自ら疑問点を見つけ、考え、答えを出す、すなわち「研究」をおこなうことになります。この点が大学の理学と高等学校の数学や理科とで大きく異なる点だと言えます。理学の「理(ことわり)」を辞書で調べると、物事の道筋、道理、不変の法則などと書かれており、まさに「ことわり」を極めるのが理学であります。さらに、理学部の英語の訳は、Faculty of Science(科学)となり、少し実態とは異なる印象を与えます。

 受験生に大学には理学部と工学部があるが、どこが違うのかと言う質問をよく受けます。先に書いたように理学部は「ことわり」を極める学部です。一方、工学部(Faculty of Engineering)は文字から「工業」が思い浮かびますが、普通科の高等学校では「工業」に関連する授業科目がほとんどないので、大学の工学部で何を学ぶかがイメージしづらいと思われます。埼玉大学の工学部には、機械工学・システムデザイン学科、電気電子物理工学科、情報工学科、応用化学科、環境社会デザイン学科の5学科があります。ここでは詳細は避けますが、概ね、人との関わりにおいて役に立つことをめざし、実用・応用研究をおこなっております。理学と工学では様々な点で思考や手法が異なり、極端な場合には考え方が180度違う場合もあります。学部を選ぶにあたっては自分がどちらに向いているのかをしっかり考えてほしいと思います。

 先日、鉄道総合技術研究所と伊豆箱根鉄道が、短い距離ですが営業路線で超伝導送電を初めて稼働すると発表しました。超伝導は電気伝導性物質を冷却すると電気抵抗がゼロになる現象で、1911年にオランダの物理学者により発見され、まさに理学の研究といえます。身の回りでは、病院で使われている磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging (MRI))のマグネットに用いられています。超伝導線を冷却して送電網に利用することや、MRIに組み込むといった技術開発は工学の研究といえます。科学の発展には理学と工学の両輪が重要だということがわかると思います。

 最後に、最近の大学や社会の流れの中では、とかく結果や成果を急ぎ、役に立つものを求める傾向が強くなっていると感じています。もちろん、それらを否定する必要はありませんが、次世代を考えるとき、理学の原点に立ち戻って、じっくりと新たな現象や原理をみつけることも必要だと思います。本学の理学部はそれができる場所です。是非一緒に理学を楽しみましょう。

理学部長 若狭 雅信

沿革

年月 事項
1949(昭和24)年5月 埼玉大学:文理学部、教育学部の2学部をもつ大学として設置
1949(昭和24)年6月 新制国立大学発足
1953(昭和28)年5月 大学本部を教育学部構内(常盤地区)より文理学部構内(北浦和地区)に移転
1965(昭和40)年4月 文理学部を改組。
教養学部(教養学科)、経済学部(経済学科、経営学科)及び理工学部(数学科、物理学科、化学科、生化学科、機械工学科、電気工学科、応用化学科、建設基礎工学科)設置。
1967(昭和42)年3月 大学事務局・学生部が新管理棟(大久保地区)移転
1969(昭和44)年4月 理学専攻科(数学専攻・物理学専攻・化学専攻・生化学専攻)設置
1972(昭和47)年3月 文理学部廃止
1976(昭和51)年5月 理工学部を改組、理学部、工学部設置
1977(昭和52)年4月 理学部に生体制御学科設置
1978(昭和53)年4月 大学院に理学研究科設置、理学専攻科廃止
1980(昭和55)年4月 分析センタ-設置
1981(昭和56)年4月 理学研究科に生体制御学専攻設置
1984(昭和59)年3月 理工学部廃止
1989(平成元)年4月 大学院理工学研究科(博士前期課程、博士後期課程)設置
1991(平成3)年3月 理学研究科廃止
1995(平成7)年4月 理学部が数学科、物理学科、基礎化学科、分子生物学科及び生体制御学科に改組
1999(平成11)年4月 理工学研究科化学専攻、生化学専攻、電気電子工学専攻及び情報工学専攻が基礎化学専攻、分子生物学専攻、電気電子システム工学専攻及び情報システム工学専攻に名称変更
2003(平成15)年4月 総合科学分析支援センター設置(分析センター、アイソトープ共同利用施設と理学部動物実験室を統合)
2006(平成18)年4月 大学院理工学研究科改組重点化。
理工学研究科を教育組織(理工学研究科・教育部)と教員組織(理工学研究科・研究部)とに分離。
博士前期課程・6専攻(13コース)、博士後期課程・理工学専攻(6コース)を設置。

理学部TOPIX

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