2025/01/09
手づくりマシンで目指せ最速!
Formula Project SU-spirted
2025/01/09
Formula Project SU-spirted
テクニカルディレクター
工学部機械工学・システムデザイン学科3年
高橋一颯さん
(群馬県立高崎高等学校出身)
プロジェクトマネージャー
工学部電気電子物理工学科3年
細田啓輔さん
(四天王寺東高等学校出身)
学生自らが設計、製作したレーシングカーで、モノづくりの総合力を競う「学生フォーミュラ日本大会」。この大会で優秀な成績を収めることを目的にするサークル「Formula Project SU-spirted」の活動に迫ります。
2024年9月12日、愛知県常滑市の「愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)」内の多目的広場に設けられた1周約800mのレーシングコース。「学生フォーミュラ日本大会」の会場となった、このコース上を爆音で駆け抜けるグリーンの車体をよく見ると「Saitama Univ.」の文字が――。そう、このレーシングカーは、埼玉大学ゆかりのマシン。大学公認のサークル「Formula Project SU-spirted(FPSU)」が製作したものなのです。
「学生フォーミュラ日本大会」では、学生が自ら構想、設計、製作したレーシングカーでレースを行います。ただし、競技内容はレースだけではありません。学生にものづくりの実践的な学びの場を提供することを目的としたイベントのため、モノづくりに対する総合力をはかるために、様々な切り口からレーシングカーを評価するのです。
具体的には、実際にサーキットを走行し、走行タイムや耐久性などをみる『動的審査』に加え、制作した車両が走行に適しているかを審査する『車検』、制作コストやデザインなどを評価する『静的審査』の合計で最終的な順位を決めていきます。
FPSUが2024年大会のために製作したのは、サークル設立時に製作したマシンから数えて7代目となる「SU-07」と名付けられた車体。先代の「SU-06」と比べて、車体の組み立てやすさと整備性を向上させたことで、大会前に十分な試走を行うことが可能になったとのこと。試走と改善を繰り返した結果、走行性能アップに成功。その甲斐があって、2年ぶりの全種目完走を達成することができました(総合順位は78チーム中31位)。
「自分で設計して、自らの手でつくったものが実際に動くことに大きな感動を覚えます」
FPSUの活動の醍醐味について、このように語ってくれたのは細田啓輔さん。2024年9月からサークルの代表であるプロジェクトマネージャーを務めていますが、活動に対して真剣な面持ちで語るその姿からは、穏やかな口調ながら、モノづくりへの情熱を感じさせます。
そんな細田さんに、他のサークルとの活動の違いについてたずねると、次のような答えが返ってきました。
「一般的な大学のサークルとの違いは、レーシングカーをつくるために必要な資金や材料などを企業からご支援いただいているところだと思います。そのため、大会でよい成績を残すなど、ご支援いただいている企業の皆さんの期待に応えることも私たちの使命の1つ。もちろんプレッシャーもありますが、そこがやりがいにもつながっています」
なお、サークルの運営においては、チーム力の向上を心がけているとのこと。そのためにメンバー同士のコミュニケーションを重視しているのです。これは、例えサークル内でエースとして精力的に活動する学生が卒業しても、チーム力を保てるようにするための配慮。レーシングカーづくりも、レースでの活動もチームで行うのは言うまでもありませんが、学生時代に、モノづくりにおけるチームワークの重要性に気づき、具体的な対策を講じた経験は、社会に出てからの大きな糧になるでしょう。
現在、サークルとして掲げている目標は「2年以内に、『学生フォーミュラ日本大会』の動的種目の1つである「オートクロス(規定のコースの走行タイムを競う種目)」で1位をとることだそう。
「新しいマシンづくりは、大会が終わってすぐに取りかかります。そこから1年かけて、新たなマシンを制作していきますが、2025年の大会には、オートクロス1位という目標に近づくために、ドライバーのパフォーマンスとマシン本来の性能を存分に発揮できる車体をつくる予定。マシンのコンセプトは『パワー×パフォーマンス』です」とは、技術リーダーを務める高橋一颯さんの弁。
FPSUが大会に参加してきた歴史の中で、これまで車検落ちは1度もなく、技術力の高さには定評があるとのこと。盤石な技術基盤と現在向上に取り組むチーム力を合わせれば、目標達成は必ずしも夢ではありません。今後の活動に期待がかかります。
FPSUの活動は多岐に渡ります。
レーシングカーづくりだけでも、車体設計や製作、パーツの開発、電装系のプログラミングなど、やるべきことは、実に数多く存在します。その他、スポンサー集めや審査項目にもなっている車体のプレゼンテーションと資料の作成なども求められます。ですので、メンバーは、それぞれの興味にしたがって、プロジェクトに携わることが可能。
FPSUの活動について、細田さんも高橋さんも「少しでも活動内容に興味があれば、誰でも楽しめます」と口を揃えるのも、うなずけます。
「文系理系を問わず、得意なことを活かせる仕事が必ずあると思います。実際に、レーシングカーの製作には携わらず、スポンサー企業との折衝や車体のプレゼンテーションだけ担当するというメンバーもいます。いずれにせよ、学生自らが企画したレーシングカーを皆でつくって、走らせるのは、とても貴重な経験です。大学生になったら、何か新しいことに挑戦したいと考えているなら、おすすめのサークルだと思いますよ。埼玉大学入学後には、ぜひ一度見学にきてください。お待ちしています」(細田さん)