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2022/12/21

【工学部】いまだ明らかになっていないプラズマ現象のメカニズムを解明し、革新的技術を創出する

工学部 電気電子物理工学科/稲田研究室

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  • 【工学部】いまだ明らかになっていないプラズマ現象のメカニズムを解明し、革新的技術を創出する

様々な産業に利用されているプラズマ。しかし、そのメカニズムには未だ明らかになっていないことが多いといいます。工学部の稲田優貴准教授が取り組むのは、そんなプラズマ現象の根本的なメカニズムを明らかにする研究。では、この研究の成果が、どのようなことを実現するのか? 研究の内容や意義について、稲田先生にお話を伺いました。

私たちの生活に身近なプラズマはわからないことばかり

物質には、固体、液体、気体という3つの状態があることはよく知られています。例えば、氷(固体)に熱を加えれば、水(液体)になり、水蒸気(気体)に変化します。

では、水蒸気にさらに熱を加えると、どうなるのでしょうか?

水の分子がバラバラになり、分子から飛び出した電子が活発に動き回る状態になる――というのがその答え。そして、この状態を「プラズマ」と呼ぶのです。

物質の第4状態とも呼ばれるプラズマですが、実は、宇宙空間に存在する物質の99%以上は、プラズマの状態で存在しています。そしてプラズマは、私たちにとっても身近な存在。雷や炎などはプラズマの一種ですし、蛍光灯にも用いられています。さらに、半導体や自動車製造など、様々な産業で利用されているのも特筆すべき点。最近では、植物にプラズマをあてると、発芽率や環境耐性が高まるため、農業への活用も進められています。遺伝子治療や免疫治療、がん治療といった医療への展望も開けています。

しかし、このようなプラズマの応用技術は、様々なものに次から次へとプラズマを当ててみて、効果があったものを実用化しているのがほとんど。なぜなら、プラズマの基礎現象には明らかになっていないことが多いため、そのような多くのトライ&エラーを辿ることでしか、今のところ応用技術を確立することができないからです。

そこで、私たちの研究室では、プラズマ現象の根本的なメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいるのです。

世界初! プラズマの電子密度を“見える化”するセンサを開発

プラズマの基礎現象を明らかにするために取り組んできたことの1つに、電子がプラズマのどこにどれくらい存在するのかという情報を写真を撮るように一度で“見える化”するセンサの開発があります。この装置の完成により、世界で初めてプラズマ内部における電子の状態を可視化することに成功しました。

これにより、雷のように事前に形が予測できない複雑なプラズマであっても、電子の状態を正確に捉えることができるようになりました。これも世界初の成果で、これにより、従来の通説を覆す事実を次々と明らかにしています。

いずれにせよ、プラズマの性質は活発に動き回る電子に由来するため、その状態を捉える装置の開発は、プラズマのメカニズムを解き明かすための必須ツールであるのは間違いありません。

プラズマの基礎現象に関する研究と併せて、半導体の製造装置や落雷から電力システムを守る装置(写真)など、応用分野の研究にも取り組んでいる

なお、プラズマの良い面はもちろん、悪い面も含めて、総合的な研究を進めているのも私たちの研究室の特徴の1つ。さらにプラズマには様々な種類が存在しますが、私たちが扱うプラズマも多種多様です。このように幅広い視点で研究に取り組む理由は、宇宙に最も多く存在するプラズマを支配する普遍的な法則を見出すためです。

研究のゴールは、プラズマのメカニズムを解き明かして、新たな応用技術を開発することになります。先に説明した通り、これまでプラズマの応用技術は、想像を絶するほどの試行錯誤の末に確立されたものがほとんどです。プラズマの理解が進めば、どのようなことに利用できるのかがピンポイントでわかるようになるでしょう。そうなれば、短い時間でたくさん、革新的なプラズマ技術が生み出せると考えています。

稲田准教授より受験生へMessage

大学時代の創意工夫が“替えのきかない”人材をつくる

 研究室の学生には、既にやり方が分かっている簡単な課題ではなく、独創的なアイデアや技術を生み出すことにも取り組んでもらいます。当然、失敗はつきものですが、失敗の積み重ねが成功に結び付くことを知ってほしいですね。自分にしかできない強みを手に入れて、“替えのきかない”人材に育ってほしいと思います。
 また、常識を鵜呑みにせず、疑問を感じたり、不思議だと思う姿勢を大切にしてください。さらに言えば、何にでも疑問を抱いた子供の頃の気持ちを思い出してほしいと思います。そのような姿勢から研究につながることも多いですから――。

学生の学ぶ意欲に応える柔軟性が埼玉大学工学部の特徴

 研究・開発はもちろん、産業機器を扱うあらゆる現場では、電気回路が必ず使われています。しかし、工学部出身者でも、電気を専攻していないと、現場で適切に電気回路を扱うことができないケースが少なくないようです。
 その点、埼玉大学工学部なら、電気電子物理工学科に所属していなくても、そのようなスキルをきちんと身につけられるカリキュラムが用意されています。このことが、将来、研究や仕事を行う上で、役立つのは言うまでもありません。
 また、学びに対する懐の広さも、学生にとってのメリットの1つ。たとえ学びたいことが、特定の学科の枠に収まらなくても、柔軟に対応してくれる環境が整っていると思います。
 研究者の視点でいえば、コンパクトで風通しがよい組織であることは大きなメリットです。他の先生との交流がしやすいのはもちろん、職員の方からの事務的なサポートも手厚く、とても研究しやすい環境だと思います。

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