アミノ酸のキラル回転がスピン選択性を生みだし発現する新たな磁気コンパス効果を解明-(大学院理工学研究科 長嶋宏樹 助教)-
2026/10/30
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ポイント
- 様々な生物が示す地磁気感受性の起源と考えられている磁気コンパス効果については分子・ 原子レベルでの検証は未だ不十分であり、その詳細な機構は明らかでない
- クリプトクロムという青色光受容タンパク質において中間体の立体構造変化を示し、アミ ノ酸残基のキラル回転運動が導くキラリティ誘起スピン選択性を特徴づけた。中間体のス ピン量子性が外部磁場の方向に依存する磁気コンパス効果の増強を示した。

概要
神戸大学ライフ光学イノベーション研究センターの小堀康博教授、婦木正明特命助教、神戸大学大学院理学研究科(当時)の濱田美里氏と、東邦大学薬学部の岩田達也准教授、埼玉大学大学院理工学研究科の長嶋宏樹助教(量子科学技術研究開発機構 協力研究員)、名古屋工業大学生 命・応用化学類の神取秀樹特別教授(オプトバイオテクノロジー研究センター長)、アルベルト・ ルートヴィヒ大学フライブルクのStefan Weber教授らによる共同研究チームは、動物の磁気感受に重要な役割を果たすと考えられている光受容タンパク質における中間体の立体構造変化を 電子スピン共鳴法によって示しました。さらにタンパク質内部のアミノ酸残基のキラル回転運動が導くキラリティ誘起スピン選択性を特徴づけ、中間体のスピン量子性が外部磁場の方向に 依存する磁気コンパス効果を明らかにしました。
本研究成果は、渡り鳥など様々な生物が示す地磁気の感受性の起源と考えられている磁気コン パス効果において、特定のアミノ酸残基のキラル回転が増強する役割を初めて示したものです。この知見から、生体分子を用いる微弱な磁気センサー開発への応用や、生物による光磁気感受に関わるシグナル伝達のしくみの理解を前進させるものとして期待がもたれます。
本研究成果は、2026年10月30日14時(日本時間)に米国科学誌『The Journal of Physical Chemistry Letters』に掲載されました。
論文情報
| 掲載誌 | The Journal of Physical Chemistry Letters |
|---|---|
| 論文タイトル | “Chirality-Induced Spin Selectivity in Photoinduced Charge-Separations of Cryptochrome: Potential Role in Magnetoreception” |
| 著者 | Yasuhiro Kobori*, Misato Hamada, Tatsuya Iwata, Hiroki Nagashima, Masaaki Fuki, Hideki Kandori, Stefan Weber *は、責任著者 |
| DOI | 10.1021/acs.jpclett.6c02747 |
