「エスペック地球環境研究・技術基金」の助成対象に採択(人文社会科学研究科 有賀健高教授)
2026/9/9
大学院人文社会科学研究科の有賀健高教授が、2026年度「エスペック地球環境研究・技術基金」の助成対象者に採択されました。
同基金は、エスペック株式会社が設立した公益信託で、地球環境問題の克服に寄与する調査研究や技術開発を支援するものです。2026年度は20件、総額900万円の助成が決定されました。
| 研究テーマ | 生物多様性知識が個人投資家の保全態度に与える影響 |
|---|---|
| 助成対象者 |
有賀 健高(人文社会科学研究科 教授) |
研究の背景
近年、国連の生物多様性条約(CBD)の一環で、2030年までに陸海域の30%を保全する「30 by 30」目標の設定や、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の浸透など、金融の意思決定プロセスに生物多様性リスクを組み込む動きが世界的に加速しています。 一方で、環境心理学においては、事前の知識が態度の変容を促し、最終的な行動へとつながるという「知識・態度・行動(KAB)パラダイム」が知られています。 しかし、このメカニズムを投資家層の行動分析に応用した研究はこれまで極めて限定的でした。 本研究は、この学術的なギャップに着目し、投資家の行動メカニズムに直接アプローチすることを背景としています。
研究の目的
本研究の主眼は、生物多様性に関する知識が投資家の「保全態度」や、最終的な「投資行動」にどのような影響を与えるかを実証的に明らかにすることです。
第一に、生物多様性に関する3つの次元(生態系・種・遺伝子)への知識レベルを測定し、それが遠隔地の自然を重んじる「存在価値」や、次世代へ残す「遺贈価値」といった保全態度にどう結びつくかを、計量モデルを用いて推計します。
第二に、そのような知識や態度の違いが、実際の投資意思決定にどのような差異をもたらすかを検証します。 具体的には、生物多様性保全を目的とする「サステナビリティボンド」への投資を想定し、リターンや情報開示レベルなどの条件を組み合わせた仮想的な選択実験(DCE)を実施することで、事前の知識レベルが金融行動に与えるインパクトを定量的に解き明かします。


