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研究トピックス一覧

錯視の個人差の要因をDNN(人工知能の基となる計算モデル)を使って解明-#TheDress画像の場合-(大学院理工学研究科 栗木一郎教授、清川宏暁助教 共同研究)

2025/11/6

プレスリリース全文はこちらからご覧ください。

ポイント

同じ画像に対して人によって見え方が大きく異なる#TheDress画像[1](図1)について、その個人差の原因が「ブルー・バイアス」と呼ばれる日常的に獲得される色認識の個人差に依存することを、DNN [2] (人工知能の基となる計算モデル)を用いて明らかにしました。

図1 #TheDress画像

概要

#TheDress画像は、人によって見え方が大きく異なる錯視画像として約10年前にSNS上で話題となりました(図1)。このドレスの色の見え方は白地に金の飾り(白/金)または青地に黒の飾り(青/黒)の2パターンに分かれますが、その理由は解明されていません。本研究は、その原因が経験に基づく写真の解釈の違いにあることを、計算機モデルを用いて示しました。

本研究は、埼玉大学大学院理工学研究科 栗木一郎教授と清川宏暁助教、近畿大学情報学部 篠崎隆志准教授による科学研究費補助金(科研費)「DNNの解剖による#TheDress画像の脳内メカニズムの解明」(課題番号:21K19777、研究代表者:栗木一郎)の一部として行われ、研究は主に埼玉大学大学院の学生(斎藤輝、大久保類)によって実施されました。

この研究成果は、知覚科学研究に関するオンラインの学術誌「i-Perception」に2025年11月5日に掲載されました。

論文情報

掲載誌 i-Perception (オンライン、オープンアクセス)
論文名 Can DNN models simulate appearance variations of #TheDress?
著者名

栗木一郎・斎藤輝・大久保類・清川宏暁(埼玉大学)・篠崎隆志(近畿大学)

DOI 10.1177/20416695251388577
URL https://doi.org/10.1177/20416695251388577

用語解説

[1] #TheDress画像:図1の画像。2015年3月、ドレスの色の見え方について意見が大きく分かれたことから、インターネットのSNS上で流行した画像。

[2] DNN :深層神経回路を意味する “deep neural network” の略。現代の人工知能(AI)の基礎となる計算モデル。人間の脳における多段階の情報処理を模倣した、多重の層構造が特徴。関連する初期の研究に関わった研究者が昨年のノーベル賞を受賞。

[3] ブルー・バイアス (blue bias) :晴天時の日陰では物体は青空の光を受け反射している。この時の経験を元に、青白い光を白く知覚する傾向のこと。個人差があることが知られているが、朝型/夜型との関係は弱いと考えられている。

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