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2026/04/28

研究者への第一歩を踏み出す卒業生を後押し!

「梶田隆章賞」受賞者インタビュー

Profile

(左から)

令和7年度 工学部応用化学科卒業
尾﨑未琉さん(鈴鹿高等学校出身)

令和7年度 理学部数学科卒業
池竹和豊さん(埼玉県立浦和高等学校出身)

毎年、卒業生の中から、研究への高い志を有する学生を表彰する「梶田隆章賞」。若手研究者の育成推進を目的に、本学フェローで2015年にノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章先生の寄附により創設された表彰制度です。令和7年度は、理学部数学科の池竹和豊さんと、工学部応用化学科の尾﨑未琉さんが受賞。大学院への進学を機に、本格的に研究者の道を歩み始めた2人に、受賞の喜びや研究への熱い思いを語っていただきました。研究者を志す人にとっても、大学での学びの先にある姿をイメージできる有益なインタビュー記事になっています。ぜひご一読を!

研究テーマは、カオス理論と、薬を届ける化合物

――「梶田隆章賞」受賞おめでとうございます。まずは受賞の感想を聞かせてください。

池竹さん 高校時代に、母校でご講演いただいたこともあって、梶田先生はずっと憧れの存在でした。そんな先生にゆかりのある賞をいただいて、とても嬉しいです。また、受賞によって今までの努力が報われたとも感じています。自分の研究活動が間違っていなかったという自信にもつながっています。

尾﨑さん 受賞の知らせを聞いた際は、とても驚きました。この栄誉ある賞に恥じぬよう、これからも真摯に頑張っていかなければならないと、気が引き締まる思いです。

――ご家族や友人の反応はいかがでしたか?

池竹さん 両親はとても喜んでくれました。「立派な息子でいてくれてありがとう」と直接言われ、さすがに照れくさかったですね(笑)。

尾﨑さん 周りの友人たちは「すごいね」と言われました。地元の三重県にいる父親は、梶田先生のことも知っていて、とても喜んでくれました。

――大学時代に取り組んできた研究テーマについて教えてください。

池竹さん カオス理論に関する研究に取り組んできました。カオスとは、わずかな初期条件の違いが全く異なる結果をもたらす現象のこと。たとえば天気予報では、風速のデータがほんの少しずれるだけで、翌週の天気予測の結果が大きく変わってしまうことがあります。このように、長期の予測が極めて困難になる現象をカオスと呼びますが、そんな複雑な現象を記号に変換し、時間順に並べて扱う「記号力学系」の手法を用いて理解する研究を行ってきました。

尾﨑さん シクロデキストリンという化合物に関する研究に取り組んできました。シクロデキストリンは筒形の分子で、内側に薬剤など、別の分子を取り込む性質(包接)をもっています。そこで、シクロデキストリンにさまざまな官能基(有機化合物の性質を決定づける原子団)を導入し、薬剤となる分子の吸着や脱離のメカニズムを調べてきました。将来的には、薬を体内の必要な場所に必要な量を送り、適切な時間作用させる技術である「ドラッグデリバリーシステム」への応用を視野に入れています。例えば、特定のがん細胞だけに接着してそこに薬を届けられるような分子の実現を目指しているのです。

――それぞれの研究の醍醐味を聞かせてください。

池竹さん 何よりもロマンがあるところが数学の魅力です。現実世界は三次元ですが、数学では無限次元の世界を考えることも許されます。現実では意味がわからないようなものを論理的に扱えるという不思議さに知的好奇心がくすぐられます。

尾﨑さん 自分で設計した化合物を自分の手で合成して、さらに自分自身で測定・評価する――そんな一連のプロセスがとても楽しいです。もっとも、光に当てると壊れてしまうような繊細な蛍光物質も扱うので、デリケートな作業も多いのですが、だからこそ成功した時の喜びも大きいですね。

研究を続ける理由と将来像

――お2人とも埼玉大学大学院理工学研究科に進学し、学部時代に取り組んできた研究をさらに発展させていくとのことですが、大学院への進学を決めた理由を教えてください。

池竹さん 幼い頃から科学者になりたいという夢があって、数学が楽しいと感じたので数学者を目指してきました。数学者になるには博士号が必要なので、大学院への進学は自然な流れでした。また研究するほどわからないことが増えていくので、探求したい課題が数多くあることも大学院進学の理由の1つ。大学院では、応用系の論文を執筆したいと考えています。現在は数学の理論の研究が中心ですが、数学の理論を使って社会や自然現象を解明する研究に挑戦してみたいです。

尾﨑さん 将来は研究開発の仕事に携わりたいと考えているのですが、大学4年間だけでは必要な知識や技術が足りないと感じたのが、大きな理由です。大学院でより専門的なスキルを身につけたうえで、製薬や医療の発展に貢献していきたいと考えています。最終的な目標は、薬物を包接しながら細胞膜にも接着できるキャリア分子をつくって、理想的なドラッグデリバリーシステムを構築すること。まずは、シクロデキストリンの包接の有効性を評価するところまではやり切りたいです。

――あなたにとって、研究とはどのようなものでしょうか? また、目指している研究者像も教えてください。

池竹さん 研究ができるのは人間だけだと思います。「なぜだろう」という知的好奇心を持ち、純粋な問いを突き詰められるのは人間だけだからです。いくらAIが発展しても、「どこに問いを立てるか」は人間の感性によるものだと考えています。目指す研究者像は、社会にも応用できる視点を持ちながら、優れた感性をもって、世の中にインパクトある成果を生み出せる研究者です。

尾﨑さん 研究は、未知の現象に対して自らの手で検証し、新しい知見を積み重ねていくプロセスです。社会にとっても、自分にとっても、未知のことを知っていくことは必要なことなので、欠かすことのできない取り組みだと思います。目指しているのは、自分の興味や達成感を大切にしながら、得られた成果をさまざまな分野に還元できる研究者。自分の思いに従って研究に向き合うことを大切にしていきたいです。

――最後に、「梶田隆章賞」受賞、および大学院進学を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

池竹さん 興味の赴くまま、自分が面白いと思ったことをどんどん突き詰めてみてください。そうすれば道はきっとひらけるでしょう。やはり純粋な好奇心を大切にしてほしいですね。

尾﨑さん サークルでも勉強でも研究でも、とにかく目の前のことを精一杯頑張ってほしいと思います。僕自身がそうであったように、何にでも全力で取り組んでいれば、結果はきっとついてくるものと信じています。

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