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2026/05/27

【経済学部】グローバルビジネスにおける日本企業の「勝ち筋」を探求

経済学部 メジャー:国際ビジネスと社会発展/川端研究室

スマートフォン1つで世界中の商品が届く時代に、日本企業はどのように戦うべきなのでしょうか。本学経済学部の川端庸子准教授が取り組む研究は、そうした問いに向き合うものです。「日本企業を後押ししたい」という思いを胸に歩んできた川端准教授に、研究の内容や意義について語っていただきました。

グローバルの荒波の中で、日本企業の競争力を高めるには

私の専門は、グローバルマーケティングです。マーケティングとは、商品やサービスを売るための取り組みのことですが、特に小売や流通の国際化に着目した研究を進めています。

具体的には、スーパーマーケットやコンビニといった実店舗に加え、インターネット上の取引(EC:電子商取引)、Amazonや楽天といったプラットフォームビジネスも研究対象としています。こうした事例を通じて、グローバル企業が海外展開の中でどのような行動を取り、どのように競争しているのかを、理論的・実証的に解明していきます。

研究を進める中で強く感じるのは、グローバル競争における日本企業の苦しさです。

残念ながら、グローバルマーケティング研究の分野では、日本企業の海外進出が「失敗事例」として扱われることも少なくありません。その背景には、欧米企業と比べて意思決定のスピードが遅かったり、失敗を恐れて新しい挑戦をしにくかったりする、日本独特の企業文化があると考えられます。こうした課題が、グローバル市場での出遅れにつながっているのです。

だからといって、欧米企業にそのまま倣えばよいというものではありません。

多くの日本企業は、丁寧なモノづくりや緻密な品質管理といった強みをもっています。そうした強みを守りながら、グローバル市場で成果を上げている企業の成功要因をどのように取り入れ、融合させていくか。その点こそが、日本企業の競争力向上につながると考えています。研究を通じて、そのヒントを見つけたいのです。

近年では、越境EC(国境を越えたインターネット取引)を通じて、世界に挑戦しようとする企業も増えています。現地に実店舗や生産拠点を構える必要のない越境ECは、資金力が限られている企業であっても、海外に販路を広げることを可能にします。つまり、大企業でなくても、世界に羽ばたける可能性は十分にあるのです。

そのような企業を後押しするような研究成果を導き出すことも、研究における重要なビジョンになっています。

注目のアパレルECプラットフォームSHEINも研究対象

近年、注目している研究対象の1つに、中国発のオンラインファッションプラットフォーム「SHEIN(シーイン)」があります。SHEINは中国・広東省広州市に集中する中小のアパレル工場を直接ネットワークでつなぎ、低コストで生産した商品を世界中に届けるという独自のビジネスモデルで急成長を遂げました。

工場から消費者のもとへ商品を直接配送することで、中間流通コストを大幅に削減し、低価格を実現している点が大きな特徴です。さらに、小ロット・短サイクルでの生産を可能にすることで、余剰在庫を抑えられる仕組みも備えています。低価格で廃棄されやすい商品を扱っている一方で、廃棄ロスを減らすという、一見すると相反する要素を両立させている点で、他に例を見ないユニークなものだといえるでしょう。

研究のプロセスでは、文献調査だけでなく、実際に企業を訪問し、インタビュー調査を行うこともあります。SHEINのケースでは、東京・原宿にある常設店舗に足を運び、現場の声を直接聞きました。研究テーマによっては、日本企業を訪問し、グローバルマーケティング活動の実態を調査することもあります。

こうした調査を通じて、海外の成功事例と日本企業の特性を照らし合わせながら、日本の競争力を支えるための知見を発信し続けていくのです。

「正解がない」こと――それが、この研究の難しさです。

たとえば、現在は高い業績を上げている企業であっても、10年後に同じ評価を得ているとは限りません。新型コロナウイルスの感染拡大のように、社会環境が急激に変化すれば、ビジネスの前提そのものが覆ることもあります。だからこそ、この研究では、唯一の正解を求めるのではなく、理論的に「腑に落ちる」自分なりの答えを探し続ける姿勢が求められます。暗闇の中を手探りで進むような取り組みですが、その不確実性こそが、この研究の難しさであり、面白さでもあるのです。

川端准教授より MessageMessage

ビジネスの現場感と理論の両方を身につける

 ゼミでは、リアルなビジネス現場に向き合う学びを大切にしています。
 一般社団法人さいしんコラボ産学官が主催する「開放特許を活用した学生アイデア発表会 in 埼玉」への参加も、そうした学びを実現する取り組みの一つです。
 このプログラムは、大手企業が保有する開放特許(他者が利用することを認めている特許)を活用し、学生が考案した商品アイデアを発表するもの。発表したアイデアは、埼玉県内の中小企業によって商品化・事業化することを目指していて、学生と企業をつなぐ実践的な場となっています。
 学生たちは、アイデアを形にする過程で、企業へのインタビューや意見交換を重ねます。時には厳しい指摘を受けることもありますが、試行錯誤を繰り返す経験を通じて、粘り強さやバイタリティが自然と養われていきます。
 また、「日本マーケティング学会」や「関東学生マーケティング大会」など、研究成果を発表する場に参加する機会も設けています。このような取り組みを通して、論文の書き方に加え、統計分析のスキルやスケジュール管理能力など、研究活動に必要な基礎的スキルを身につけることができるのは言うまでもありません。
 実際のビジネス現場で求められる対応力と、学術的・理論的なスキルの両方をバランスよく学べる点が、このゼミの特徴です。将来は、こうした学びを通じて培った多角的な視点を武器に、日本と世界の架け橋として活躍する人材に育ってほしいと考えています。

学問の前では立場を問わない「美しい知の学び舎」

 美しい知の学び舎――。
 埼玉大学を表すのに、これほどふさわしい言葉はないと感じています。
 この大学には、教員、学生、留学生といった立場に関係なく、ロジックを軸に対等に議論できる場があります。誰もが忖度することなく、「何が正しいのか」を純粋に追い求めることができるのです。本来、学問の場はそうあるべきですが、残念ながら実社会でそのような環境が整っているところは多くはありません。だからこそ、研究者としてはとてもありがたく、学生にとっても大きな魅力になると考えています。
 また、埼玉大学経済学部には、GTP(グローバル・タレント・プログラム:グローバルで活躍できる人材育成を目指す特別プログラム)があり、英語で論文を書いたり、海外からの留学生と共に学んだりする機会も充実。日本にいながら海外の視点を身につけられることも大きな特徴です。
 知的好奇心の高い仲間たちと刺激を与え合いながら成長できる「美しい知の学び舎」で、ぜひ4年間を過ごしてみてください。

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