mationInfor活動実績部局紹介財務状況受入手続き24科 学 技 術イノベー ションの 源 泉を 生 み 出 すネットワーク型 研 究( 個 人 型 )図 3図 2クリプトクロムの中では光によって、磁気に敏 感なスピン対が形成される図 1渡り鳥の磁気コンパスの第一 候 補として注目されるタンパク質・クリプトクロムの構 造予測モデル内田淳史研究室JST・CREST[ 光融合 ]2024 年度採択課題基礎化学プログラム前田・長嶋研究室JST・さきがけ [ 量子フロンティア]2024 年度採択課題研究の将来 展 望のイメージ。鳥は北を認 識でき、ランダム な 電 磁 波 下 ではそれがわからなくなるという 動 物 実 験 が報告されている。 (Engels et al., Nature, 509, 353-356 (2014))とその振る舞いが, 生体分子における磁場効果の□です。この振る舞いは電子スピンを持つ分子や原子を支える生体分子の構造に依存しています。 本研究では、磁覚に関与するとされる磁場効果を示すタンパク質を対象に、磁場効果を生じるメカニズムやその磁気的性質を調べ、そのメカニズムを担うタンパク質の構造と併せて明らかにすることを目指します。また、静磁場、電磁波を用いた反応制御にも挑戦します。渡り鳥の磁気感受は電磁波で乱されていることが知られています。もし、そのメカニズムが分子レベルではっきりと理解できてきたら、生体中の化学反応を外部の磁場や電磁波で制御することも夢ではなくなるでしょう( 図 3)。磁場は、生体の深いところにも安全に到達することができます。そのため、生体分子の磁場への反応の理解は、医療やバイオの世界に新たなブレークスルーをもたらす可能性があります。 さきがけは、国が直面する重要な課題の克服に向け、独創的・挑戦的で国際的に高水準の発展が見込まれる先駆的な目的基礎研究を推進し、科学技術イノベーションの源泉となる新技術シーズを世界に先駆けて創出することを目的とするネットワーク型研究(個人型)です。研究総括が定めた方針のもと、若手研究者が異分野の研究者とネットワークを形成しながら、挑戦的な個人型研究を進めます。 大学院理工学研究科の長嶋宏樹助教は、「量子フロンティア開拓のための共創型研究」を戦略目標とする研究領域「量子・古典の異分野融合による共創型フロンティアの開拓」(研究総括 井元 信之 東京大学特命教授室・特任教授)における研究課題に「生体分子の構造が生み出す磁気応答機構」が採択されました。 多くの生物が磁気を感じることが知られています。渡り鳥は数千 kmの距離を移動する際に地磁気を利用しています。しかし、磁覚は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といったヒトがもつ五感と大きく違い、□に包まれています。この機能は , 生体分子の化学反応が磁場に影響される、磁場効果に支えられていると考えられますが、動物における磁気受容器官は特定されておらず、そのメカニズムがわかっているとは言えません。生体分子が磁場に影響を受けるためには、生体分子が織りなす古典的な構造に支えられた、相互作用する複数の電子スピンがあるはずだと考えられます( 図1,2)。スピンとは電子が持つ小さな磁石のような性質です。電子スピンは単独ではなく、周囲の原子や他のスピンと相互作用することで、複雑な量子状態をつくり出します。これらの量子状態は外部から加えられた磁場によって変化したり、スピンの向きがそろったりすることがあります( 図 2)。電子スピンたちの示す量子状態さきがけ「 生体 分 子 の 構 造 が 生 み 出す 磁 気 応 答 機 構 」
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