岡部正義准教授による著書がSpringer Nature社から公刊されました。

このたび、本学人文社会科学研究科・経済学部　岡部 正義 准教授の著書がSpringer Nature社から10月2日付で公刊されました。

■書誌情報：
Okabe, Masayoshi. 2025. Economics of the Reversal in Gender Disparities in Education and Development: Poverty, Family Dynamics, and School Environment in the Philippines (Economics, Law, and Institutions in Asia Pacific [ELIAP] series). Singapore: Springer Nature. 341 (xxv +316) pp.

■概要：
アジア太平洋で男女平等の先進国と称されるフィリピンでは、男子の教育離脱が進んでいる。本書は、この一見「逆転」とも言える現象の内実を、批判的かつ実証的に検討する。ルソン・ビサヤ・ミンダナオにまたがる三州で筆者自らが実施した独自調査と国際機関による公開統計を用い、家族と学校環境の力学が貧困や不均衡な発展とどう結びつくかを追跡し、男子の教育離脱が広い社会経済構造と不可分であることを示す。女子は学業で優位に立つ一方、労働市場では依然として不利であり、その非対称性が複合的な経路を通じて男子の離脱を再帰的に形成する。本書は、計量経済分析、現地語に基づくフィールドワーク・質的分析を動員しながら、地域研究・開発研究・経済学・教育学を架橋し、逆転の重層性と多義性を明らかにし、ゼロサム的理解を超える視角の重要性を提起する。

図書版とeBook版の双方があります。ご関心の向きには、ぜひご一読ください。

■リンク：
Economics of the Reversal in Gender Disparities in Education and Development