お知らせ

岡部正義准教授の研究論文が開発経済学分野の主要国際誌『Journal of Development Studies』に公刊されました

人文社会科学研究科・経済学部で開発経済学を担当する岡部正義准教授の研究が,下記の通り,開発経済学分野における主要国際ジャーナル『Journal of Development Studies』に公刊されました。

Okabe, Masayoshi. 2025. “Boys’ Underperformance, Teacher Scoring Bias, and Unbalanced Teacher Market in Rural Philippines.” Journal of Development Studies, 61 (1): pp. 40–62, DOI: 10.1080/00220388.2024.2398449

本論文では,ジェンダー平等国として知られるフィリピンにおいて,実は「男子の教育不振」が現地で問題となっている点に着目しています。著者自身がフィールドワークと独自のデータ収集を行い,「自然実験」と呼ばれる実証経済学のフレームワークを活用して,貧困農村地域で成績の採点方法の違いが(他の要因を制御しても)男子と女子の間に得点差をもたらす点を計量経済学的に比較実証したものです。

教師-生徒の同性間作用に着目した分析から,採点方法の違いによって得点に現れるステレオタイプ効果を統計的に検出しました。この背景として,特に民間部門が発展途上な途上国地域において,女性の就業機会の多様性が限られているために教員に占める女性教師比率が高い点との関連を論じています。本研究が掲載されたJournal of Development Studies誌は,開発経済学・国際開発学分野で最も古い代表的な国際誌の一つです。教育開発・教員労働市場・行動経済学・ステレオタイプ・自然実験・フィリピン地域研究などに関心がある方は,全文無料公開されていますので,ぜひご覧ください。

Journal of Development Studies (Taylor & Francis社) 論文リンク