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「Na-Fe系酸化物による革新的CO₂分離回収技術の開発」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(大学院理工学研究科 柳瀬郁夫准教授 共同事業)

2022/7/7

エア・ウォーター株式会社(本社:大阪市中央区、以下、エア・ウォーター)、戸田工業株式会社(本社:広島市南区、以下、戸田工業)および国立大学法人埼玉大学(所在地:さいたま市桜区、以下、埼玉大学)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金(以下、GI基金)事業/CO₂の分離回収等技術開発プロジェクト」において、「Na-Fe系酸化物による革新的CO₂分離回収技術の開発」を共同提案し、このほど採択されました。

1.目的・概要

GI基金事業は、政府が発表した「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向け、2兆円の基金をNEDOに造成したもので、経済産業省等が策定した「グリーン成長戦略」において実行計画を策定している重点分野を支援することを目的としています。企業等の自助努力だけでは取り組めないような野心的かつ具体的な目標を共有したうえで、これに経営課題として取り組む企業等に対して、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する事業です。

このたび採択された本事業は、戸田工業と埼玉大学が互いの技術力を結集して開発する新規CO₂固体回収材「Na-Fe系酸化物」を使用し、工場のボイラ等から排出される高温・低圧・低濃度のCO₂を効率よく分離回収するプロセスを確立するとともに、エア・ウォーターのガス製造・エンジニアリング技術を用いて、中小規模のCO₂回収装置の開発に取り組みます。なお、本事業におけるCO₂回収コストは2,000円台/ton-CO₂を目指します。

昨今、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが進む中において、大規模発電所などに設置されるような大型のCO₂回収装置だけでなく、様々なCO₂排出源に対応する分離回収技術が求められています。中でも、一般工場の燃焼排ガスをはじめとする低純度(10%以下)のCO₂回収ニーズは年々高まっています。本事業においては、汎用かつ設置台数が多い「ボイラ由来の排ガス」を主たるターゲットとし、革新的なCO₂固体回収材を用いることで、CO₂排出量の削減に貢献してまいります。将来的には、本事業で開発したCO₂回収装置をボイラメーカーに提供することで、ボイラのオプション品としてCO₂回収装置を一般工場で使用することが可能となり、CO₂回収・利用の普及促進が期待されます。

※ボイラは、重油や都市ガスなどの燃料を燃焼させ水を温め、温水や水蒸気をつくる装置です。工業用には、温水や蒸気として使う以外にも、暖房や乾燥が必要な工程などでも使用されます。なお、国内全体における工業用ボイラからのCO₂排出量は約1,800万t/年と推定されています。

2.基金事業の内容

開発項目:Na-Fe系酸化物による革新的CO₂分離回収技術の開発

事業イメージ

各者の役割:Na-Fe系酸化物のCO₂回収性能向上、製造方法確立(戸田工業、埼玉大学)
      Na-Fe系酸化物を用いた排熱利用型CO₂分離回収プロセス開発(エア・ウォーター)
      実証機による実証(エア・ウォーター、戸田工業)
      システム適用検討(エア・ウォーター)

事業期間:2022年度~2026年度(5年間)

事業規模:17億円(うち、14.5億円が基金からの拠出)

3.「Na-Fe系酸化物」について

Na-Fe系酸化物とは、埼玉大学柳瀬准教授が発見したCO₂を吸脱着する機能のある酸化鉄系材料「ナトリウムフェライト(NaFeO₂)」を基本組成とするものです。「ナトリウムフェライト」は、鉄、酸素、ナトリウムが層状に配列する層状化合物で、燃焼排ガスや大気中に含まれるCO₂を選択的に化学吸着し、120℃程度の加熱によって、分離回収できる機能を有しています。また吸着、分離回収を繰り返しても特性の劣化がないため、長期間の連続使用を想定したCO₂固体回収材として利用可能です。このNa-Fe系酸化物を使用することで、従来のアミン溶液等のCO₂回収材料と比較して、CO₂吸収性能の向上、CO₂回収エネルギーの低減が期待できます。

ナトリウムフェライト

Na-Fe系酸化物

参考URL

柳瀬 郁夫(やなせ いくお)|埼玉大学研究者総覧このリンクは別ウィンドウで開きます