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本学研究シーズ「CO₂固体吸収材料」の民間企業による 社会実装化のための開発について(大学院理工学研究科 柳瀬郁夫准教授)

2021/11/9

1 ポイント

埼玉大学(所在地:埼玉県さいたま市 学長:坂井貴文)大学院理工学研究科 柳瀬郁夫准教授は、安全で安価な元素のみからなるナトリウムフェライトを空気中のCO₂吸収材料として活用する研究を進めております。この度、戸田工業株式会社が本材料の社会実装を目指した開発を開始しましたのでお知らせいたします。

2 経緯

柳瀬郁夫准教授は、戸田工業株式会社が鉄系酸化物の製品開発に関する多くの事業を展開し、ナトリウムフェライトの原料になる酸化鉄を安価に製造できる高い技術力を有していることから、当該企業とのナトリウムフェライトの社会実装化を進めてまいりました。

3 本学研究シーズ「ナトリウムフェライト」の化学的特徴

ナトリウムフェライトは、ナトリウム、鉄、及び酸素から構成される結晶構造をもっているセラミックス材料であり、それに含まれるすべての元素は、地球上に多量に存在するため安価です。また、ナトリウムフェライトは従来の有機化合物であるアミン系吸収液のような、揮発性、腐食性、空気酸化による劣化がなく、安全に扱える固体吸収材です。

4 ナトリウムフェライトのCO₂吸収性能

ナトリウムフェライトは、固体であるため高温環境下ではもちろんのこと、低温かつ低濃度の環境下、例えば、空気中の希薄なCO₂に対する室温での吸収特性にも優れています。また、アミン系吸収液の場合のように、その化学的性質の欠点を補うための大掛かりな設備が不要なため、ごみ処理場やボイラー設備の他、様々な環境下におけるCO₂吸収材として活用できる可能性を有しています。

5 カーボンニュートラルへの貢献

国内では、CO₂排出量を2050年までに実質ゼロにするゼロエミッション(カーボンニュートラル)を目指して、CO₂排出削減や回収したCO₂の有効活用に関する研究開発が加速しています。本学の研究シーズであるナトリウムフェライトCO₂吸収材は、空気中CO₂の吸収も可能であることから、カーボンニュートラルを実現するために幅広く貢献できるセラミックス材料として期待されます。

参考

1. ナトリウムフェライトによるCO₂固体回収材
(写真提供:戸田工業株式会社)

2. ナトリウムフェライト(写真提供:戸田工業株式会社)

参考URL

柳瀬 郁夫(やなせ いくお)|埼玉大学研究者総覧このリンクは別ウィンドウで開きます

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