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表・裏で2つの顔をもつ平面分子の開発に成功(大学院理工学研究科 古川俊輔助教、斎藤雅一教授)

2017/4/14

今回の成果のポイント

・ 従来困難とされてきた,有機π共役平面分子に高い面外異方性(表・裏の性質)を付与することに成功
・ 面外異方性の指標の1つである双極子モーメントが,従来分子の2倍以上の値
・ 表裏二面性分子と金基板界面の挙動を解明
・ 展望:このような二面性分子を安価な金属(銅など)の上に並べると,高価な金属(金など)のように振る舞わせることが出来ることが期待される。

概要

ベンゼンに代表されるπ共役分子は、一般に平面型の有機化合物であり、平面のどちら側から見ても幾何学的・電子的な偏りがないため、表面・裏面を区別することはできない。一方、表裏を区別できる2面性分子を、ローマ神話の2つの顔を持つ神「ヤヌス」になぞらえて「ヤヌス型分子」と呼ぶ。ヤヌス型分子は,エレクトロニクス素子に使用する金属の表面改質のための鍵物質として提案され、盛んに研究されている。しかしながら、このような平面型の分子に、裏表の二面性を付与するためには、平面に対して垂直方向(上下部)に電子構造の偏りを誘起する元素を導入する必要があるが,その手法は限られてきた。このような背景から、新たなヤヌス型分子を如何に創り出すかが1つの挑戦的な課題となっていた。

今回、大学院理工学研究科 古川助教・斎藤教授らは、独自の合成技術を活用し、表面と裏面で大きく性質のことなる新たなヤヌス型分子(化合物略称:トリホスファスマネントリスルフィド)を合成することに成功した。本分子の異方性の尺度の1つとなる双極子モーメントを算出したところ12 D(デバイ)であり、従来までの一般的なヤヌス型平面分子の値(〜5 D程度)の2倍以上の値を達成した。双極子モーメントは電荷の偏りを示す値であり、本分子の表面と裏面とで大きな電荷の偏り(電子豊富な面と電子不足な面)があることを示している。また、この電子豊富な面が金表面と相互作用することを実験的に明らかにし、ヤヌス型分子の表裏二面性を特徴づける新たな知見を得た。本成果は、2017年4月7日、アメリカ化学会の雑誌Journal of the American Chemical Society誌(インパクトファクター:13.038)に受理され、オンライン速報版に掲載された。今回の基礎学術的知見は,安価な金属を高価な金属のもつ性質に変換できる、まるで錬金術のような技術に繋がると期待される。すなわち、電気的な偏りをもつ本分子を金属上に並べることで、分子/金属界面に電気的な勾配(電界)が形成され、結果として金属の仕事関数が変化する。高価な金属がもつ仕事関数を安価な金属の表面処理で実現することが可能となる。

図:標的化合物の合成手法と分子構造、およびその表裏二面性

詳しい研究内容について

表・裏で2つの顔をもつ平面分子の開発に成功(プレスリリース) PDFファイル

【参考URL】

古川 俊輔(フルカワ シュンスケ)|研究者総覧このリンクは別ウィンドウで開きます

斎藤 雅一 (サイトウ マサイチ)|研究者総覧このリンクは別ウィンドウで開きます

斎藤研究室ウェブサイトこのリンクは別ウィンドウで開きます