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臓器の芽を作製する革新的な培養手法を確立−腎臓や膵臓など、さまざまな器官再生へ道−(大学院理工学研究科 吉川洋史准教授 共同研究グループ)

2015/05/13再掲載
2015/04/17

概要
 埼玉大学大学院理工学研究科 吉川洋史 准教授、横浜市立大学大学院医学研究科 臓器再生医学 武部貴則 准教授、同 谷口英樹 教授らの共同研究グループは、立体的な器官原基(臓器の芽)を人為的に創出する汎用的な培養手法を確立しました。まず、同グループが2013年に報告したヒトiPS細胞から肝臓原基を形成する培養手法におけるメカニズムを詳細に解析したところ、立体的な肝臓原基の作製には、1. 間葉系細胞の存在、および2. 培養系における物理的な外部環境(硬さ環境)の最適な条件設定、により多細胞集団が収縮現象を引き起こすこと、が必須であることを明らかにしました。さらに、このメカニズムを他器官の作製に応用した結果、肝臓のみならず、膵臓、腎臓、腸、肺、心臓、脳から分離した細胞から3次元的な器官原基を創出することに成功しました。創出された3次元器官原基は、移植後すみやかに血流を有する血管網を再構成するのみならず、機能的な組織を自律的に形成することが明らかとなりました。本論文ではその代表事例として、尿を産生する腎組織や、糖尿病治療効果を有する膵組織を生み出すことに成功しています。本技術は、さまざまな器官の再生医療を目指す上で画期的な技術基盤となるのみならず、新たな医薬品開発のツールとしての応用が強く期待されます。
 なお、本研究は米国科学雑誌『Cell Stem Cell』に掲載されました(米国東海岸時間4月16日正午:日本時間4月17日午前1時付オンライン)。 また、本研究のイメージが5月7日号の表紙に採用されました。

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採用された表紙