saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例動くタンパク質を駆動力に!ナノからマイクロまで。(できればもっと)運動タンパク質(モータータンパク質)、細胞培養、生体材料、ナノテクノロジーキーワード【最近の研究テーマ】●運動タンパク質の材料化●新規がん細胞診断ツールの開発(につながる基礎研究)●再生医療のアシストツール開発(につながる原理の探究)  http://park.saitama-u.ac.jp/~nakabayashi-lab/index.php?FrontPage川村 隆三 助教大学院理工学研究科 物質科学部門 物質機能領域生物のしなやかな運動は、従来的な機械の動きと比べて根本的な違いが2つあります。材料自身が変形できることと、アデノシン三リン酸(ATP)などの化学物質を直接のエネルギー源にできることです。動力源となっているのは運動するタンパク質で、実は数ナノメートルずつしか動きませんが、おびただしい数の分子が協調的に作用させることで、眼で見えるほどの「材料の変形」を生物は実現しています。しかも、エンジンや火力発電所のように大きな発熱(つまりロス)を伴うことなく化学エネルギーを運動エネルギーに変換できるのです。こんな事ができる運動タンパク質を協調的に作用させて有効利用できないものか?という疑問が研究の原点です。生物から抽出・精製したタンパク質材料を使ってナノメートルの運動を再現することができます。初歩的な試みですが、化学的に架橋して分子を大きくすることでマイクロメートルの運動を発生することに成功しています。●分子を架橋して大きくすることで、ナノメートル~マイクロメートルのスケールで物を動かす事ができる。(顕微鏡で動きを観察することができる)●モータータンパク質は、生物(ブタ等)由来なので高い生体適合性が期待できる。(細胞培養環境との共存化に成功している)●斬新なアイデアで現在は基礎研究の段階ですが、医療技術・薬剤の開発に役立つ「運動する細胞培養基板」としての応用を研究中です。〈架橋した微小管によるマイクロメートルスケールの運動発生〉〈モータータンパク質の例:キネシン・微小管系〉ライフ87

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