saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例分子シャペロンの機能調節と創薬・有用物質生産【その他の研究テーマ】●光合成光化学系複合体、フィコビリソーム(フィコシアニン)及びC4光合成などの分子生物学的・生化学的研究  http://park.saitama-u.ac.jp/~nakamoto/仲本 準 准教授大学院理工学研究科 生命科学部門 分子生物学領域ストレス、HSP、分子シャペロン、抗がん剤、有用物質生産キーワードタンパク質は細胞で合成され細胞内の適切な場所に移動し様々な生体物質と相互作用し、役割を果たし分解されます。このような「タンパク質の一生」のどの段階においても、分子シャペロンと呼ばれるタンパク質は他のタンパク質がその一生を全うできるように助けます。分子シャペロンは細胞がストレス(例えば高温ストレス)に曝されると熱ショックタンパク質(HSP)として大量に合成されて、タンパク質の損傷を防ぎ損傷を受けたタンパク質が機能をもつ元の構造にもどるのを助けます。分子シャペロンはがんを含む多様な病気に関与していることが明らかにされていますが、抗がん薬などの有望な分子標的になっています。私たちの研究室では分子シャペロンの構造と機能に関する研究を行ってきましたが、分子シャペロンの発現・活性調節機構を解明し得られた知見を様々な応用研究につなげたいと考えています。●非常に弱いATPase活性の測定、変性タンパク質凝集阻止活性の測定、変性タンパク質の再活性化反応の解析など、分子シャペロンの機能解析ができます。●種々の分子シャペロンの遺伝子、精製タンパク質や抗体をもっています。●種々のHsp90阻害剤を用いて、がんのフェーズII・III臨床試験が行われている。●分子シャペロンの発現を高める天然小分子化合物を添加した化粧品の開発が進められている。●微生物を用いた有用物質生産工程においては、微生物は非常に過酷な環境に曝されていますが、分子シャペロンの高発現・機能亢進により、生産性の向上が期待されます。分子シャペロンを高発現するシアノバクテリア変異株を遺伝子操作により作製しました。高発現株の熱耐性は著しく増大しました。Nakamoto et al., 2000.私たちは、天然小分子化合物ゴニオタラミン(A)が、分子シャペロンHSP90(HtpG)のATPase活性を増大させる(B)が、その機能は阻害することを明らかにしました。ゴニオタラミンは、東南アジア原産のGoniothalamus属の植物(C)に含まれていて、抗がん活性をもっています。Yokoyama et al., 2015; http://www.stuartxchange.com/Amuyon.htmlライフ82

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