saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例新しい生物電子顕微鏡技術で植物の微細構造を可視化電子顕微鏡、植物細胞、微細構造、凍結技法キーワード【最近の研究テーマ】●水生食虫植物ムジナモの捕虫葉が獲物を捕獲し消化酵素を分泌するしくみ●共生窒素固定を行う根粒の細胞内微細構造からマメ科の雑草クズの生育特性を探る●キュウリの芽生えが重力を感知して形態を制御するしくみ●ラン藻の細胞内DNAのストレスによる形状変化●植物のミクロの世界を紹介するホームページ「ミクロの扉」の作成金子 康子 教授教育学部 自然科学講座(理科分野)肉眼では見ることのできない植物の微細な構造を見たいと思います。緑色の葉もカラフルな花も、細胞の中では、様々な極微小な構造が刻々と形を変え、動き回って機能しています。最新の生物電子顕微鏡技術を使って、生きている状態にできるだけ近い、細胞の本来の姿を捉えようとしています。従来の化学薬品処理や金属コーティングを施した電子顕微鏡像では、生き生きと活動する細胞の構造をみることは困難でした。氷晶ができないような方法で急速凍結すると、活動する細胞の‘瞬間の姿’を捉え、凍結したまま電子顕微鏡観察することができます。細胞に含まれる様々な物質も本来の位置にとどまっているので、それらを分析することも可能です。電子顕微鏡による観察と並行して、光学顕微鏡で細胞内構造が動き回る姿をタイムラプス撮影しています。いろいろな蛍光試薬を活用することで、特定の酵素活性が現れる様子やそれに関わる細胞構造を追跡することができます。●電子顕微鏡で見た微細構造はアイデアの宝庫です。●微細な細胞構造の変化から植物の巧みな生き方を知ることができます。●凍結技法を含めて最先端の生物電子顕微鏡観察技術を適用します。●ミクロの目で見た細胞の世界は多彩な可能性を提示します。●ラン藻や細菌の細胞内DNAの形状変化の可視化●植物やラン藻細胞内でリンを貯蔵する構造の可視化●花弁や葉、種子の表面微細構造の可視化●デンプン、タンパク質、脂質など種子に含まれる貯蔵栄養物質の可視化●細胞壁や液胞など植物細胞の形を維持する仕組みの可視化〈ダイズ根粒の根粒菌を含む感染細胞とデンプン粒を含む非感染細胞〉〈ローズマリー葉の葉緑体が並ぶ葉肉細胞と細胞間隙〉グリーン・ナノ材料79

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