saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例幾何学的最適化-「安定」な形状とは?幾何学的変分問題、エネルギー、安定性・不安定性、時間発展キーワード【最近の研究テーマ】●結び目の最良の形状を決定するエネルギーの一つのMöbiusエネルギーに関する変分問題●赤血球の形態変換の数学モデルの一つであるHelfrich問題●上記の問題に対する時間発展方程式の可解性と解の安定性・不安定性の研究  http://www.rimath.saitama-u.ac.jp/長澤 壯之 教授大学院理工学研究科 数理電子情報部門 数理領域幾何学的変分問題とは、ある条件の下で曲面や曲線の形状がどうやって決まるのかという素朴な問題です。物は、それが一番「安定」である形に収まると考えられます。定常状態では、シャボン玉は丸いですが、ヒトの赤血球は真中が潰れたような形をしています。丸い形(球面)は、シャボン玉にとっては安定、赤血球にとっては安定ではないと考えられます。「安定」の意味が異なるのです。数学では、考察の対象物に不安定度を測る量を考え、それが最小(あるいは極小)となるものを求めるという問題があり、図形が対象であるとき、「幾何学的変分問題」あるいは「幾何学的最適化問題」と呼ばれます。不安定度を測る物差しを「エネルギー」と呼びます。エネルギーが低いほど安定であるという意味になります。シャボン玉と赤血球の安定な形が異なるのは、エネルギーが異なるためです。最近は、これらの幾何学的変分問題に付随する時間発展問題に取り組んでいます。●DNA結び目の形態・赤血球膜の形態変換、及びその時間発展の数学モデル●実用化を意識した研究ではないので、これらの例はありません。〈Helfrich変分問題のモード6-3の解(恐らく不安定)〉〈Helfrich変分問題のモード2の解(安定)〉グリーン・ナノ材料73

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