saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例エレクトロクロミック材料に液晶性を持たせることで応答速度、コントラストの向上を狙っている。【最近の研究テーマ】●キノンタイプ‐n型液晶性有機半導体材料の開発●ドナー‐アクセプター型液晶性有機半導体材料の開発安武 幹雄 講師研究機構 科学分析支援センター液晶材料、エレクトロクロミック材料、有機半導体材料キーワードエレクトロクロミック(EC)材料の利点は物質の電気化学的な酸化還元により色が変化するため、カラーフィルターを使わなくともカラー表示ができることにあり、電子ペーパーなどの表示デバイスとしての応用が期待されている。しかしながら、これら材料のほとんどはポリマー材料であり、応答速度やコントラスト等に問題を抱えている。我々は、ECの性質を液晶化合物に持たせることができれば、配向制御が容易になるため応答速度の向上につながると考え研究を進めている。また、これまでのEC材料の研究では酸化または還元のどちらか一方でのみ色を変化させる研究が行われている。そこで我々はカラー表示デバイスとしての応用を考え、一つの化合物で多くの色相の発現を期待し、酸化側と還元側そのどちらでも色相を変化させる液晶性EC材料の開発を試みている。●多くのデバイスを構成する分子はポリマーであるため剛直で加工性等に欠ける。その点、流動性と秩序性を併せ持つ液晶は、均一な薄膜形成等の利点を持つ。また、これらは加熱冷却操作で再組織化できるため有利である。さらに分子構造に電子アクセプター部位ドナー部位を持たせたこと、電解質部位の導入は、今回の応募の特徴と独創的な点である。これにより多彩なエレクトロクロミズムの可能性を秘めた点では学術的な特色と工学的な魅力の両方を持つ。●ECデバイスは、一旦色を変えると続けて電圧をかけない限り色は保持できるため、エコな表示デバイスとして活用できる。価格表等の表示や広告などの表示には適している。また、有機半導体材料と組み合わせれば、コンピューター部分の劣化を表示できる部品としても用いることが期待できる。〈エレクトロクロミズム素子の構成(a)と薄膜の秩序性(b)〉〈電気的酸化還元に伴う素子の色の変化〉ものづくり36

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