saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例細胞の硬さでがんと緑茶の謎に挑む【最近の研究テーマ】●ピロリ菌の発がん因子Tipαの胃発がん機構とその抑制●緑茶カテキンと抗がん剤との併用による新しい抗がん戦略●末梢血循環腫瘍細胞(CTC)の分離とその解析●細胞硬化作用を指標とした新規がん転移抑制物質の探索  http://dsrd.saitama-u.ac.jp/life-nano/  https://www.pref.saitama.lg.jp/saitama-cc/kenkyujo/project/index.html菅沼 雅美 教授大学院理工学研究科 戦略的研究部門 ライフ・ナノバイオ領域がん、緑茶カテキン、EGCG、がん転移、細胞弾性、硬さ、予防キーワード緑茶カテキンEGCGのがん予防効果を発見して以来、30年以上、緑茶によるがん予防や抗がん剤との併用効果などの検証に取り組んできた。3年前に、私は埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所から戦略的研究部門ライフ・ナノバイオ領域に異動し、細胞の硬さという物理学的な特性に注目して、「がん転移の克服」という重要な課題に取り組んでいる。がん細胞の硬さ(弾性)は原子間力顕微鏡 (AFM) のカンチレバーで直接細胞に触れて測定することができる。これまで、「がん細胞は正常な細胞に比べ柔らかく、転移しやすいがん細胞ほどより柔らかい」ことが明らかになってきた。さらに、緑茶カテキンには、がん転移を抑制する効果があり、がん細胞を硬化させることを見出した。この結果を基に、がん細胞を硬化させる作用が、がん転移抑制の新しい作用機構であると考え研究を進めている。●生きた細胞の硬さをヤング率として測定できる。●緑茶による大腸ポリープの再発予防効果を臨床介入試験で証明した。●細胞の硬化は、がん転移の新しい抑制機構である。●埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所内で研究をしているため、臨床医との共同研究が可能である。●埼玉県の事業として、緑茶エキスの錠剤化とそれによる予防効果の証明に携わった。ライフ102

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