saidaiseeds2016-17
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埼玉大学研究シーズ集2016-17■ 研究概要■ 産業界へのアピールポイント■ 実用化例・応用事例・活用例微分方程式が解けることを示す、解けないことを示す偏微分方程式、可解性、非可解性、ソボレフ空間、相対論的量子力学、調和解析、実解析的関数空間キーワードいくつか偏微分方程式を研究していますが、いずれも物理学に現れる方程式です。方程式を前にしてなにを研究するか?私の場合、偏微分方程式初期値問題の適切性を調べることが研究テーマとなります。次の3つの条件を示すことが「偏微分方程式初期値問題が適切である」ことを証明したことになります。それは 1. 解が存在する、 2. 解が一意である、 3. 解が初期値に対して安定である という条件です。偏微分方程式初期値問題を考えたときに常にこの3つの条件は揃うのか?実はそうとは限りません。3つの条件のうちどれかが満たされない場合もあります。そのときは「偏微分方程式初期値問題が非適切である」となります。問題例は空間1次元ディラック・クライン・ゴルドン方程式初期値問題です。解を特にソボレフ空間で考察してきました。同問題には10以上の数学者や数学者チームが参戦しています。私は適切性と非適切性の二つのアプローチで同問題を研究しています。●分散型偏微分方程式の初期値問題において解を捕まえる関数空間をいかに選ぶかが重要なポイントとなります。関数空間の一例であるソボレフ空間における正則度を表す指数の低減化は国内外の研究者が競って研究しています。定理の進展もそうですが、それを導く解析的技術が注目されます。●偏微分方程式論、調和解析そして実解析的関数空間論は以前は別々の独立した数学の分野でしたが、近年は互いの進展に欠かせない応用、技術の交換がなされています。【最近の研究テーマ】●非線形シュレディンガー方程式の時間大域可解性●ハーディの不等式の拡張●熱流を用いた種々の不等式の別証明町原 秀二 准教授大学院理工学研究科 数理電子情報部門 数理領域ライフ93

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