Suzuki H, Sato Y, Ohba N, Bae JS, Jin BR, Sohn HD, Kim SE. NCBI Phylogeographic analysis of the firefly, Luciola lateralis, in Japan and Korea based on mitochondrial cytochrome oxidase II gene sequences (Coleoptera: Lampyridae).
Biochem Genet. 2004 Oct;42(9-10):287-300.

Luciola lateralis is widely distributed throughout the Korean Peninsula, northeast China, Sakhalin, and Japan. Two ecological types are recognized in Japan based on flash and hatching time characteristics. The mitochondrial cytochrome oxidase II gene was surveyed by restriction fragment length polymorphism analysis for Japan (46 populations) and Korea (two populations). Eleven haplotypes were detected. Gene trees revealed that haplotypes between Japan and Korea are much more differentiated in nucleotide sequences (8.1%) than those within Japan (0.3-1.4%) and Korea (0.7%). Haplotypes between Honshu and Hokkaido are not separated as clades, and the two ecological types cannot be segregated from each other phylogenetically. We suggest that the Japanese populations of this species may have dispersed within one million years ago and that ecological differences may be the result of physiological adaptation to cold climates.

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点滅は「まずい」の合図 朝日新聞 2006年6月18日

 ホタルはなぜ光るのだろうか。−オスとメスが光を放ち合い、互いの存在と位置を認識することで交尾の確率を高めている。つまり「求愛の言葉」−。

  「それじゃ、まだ半分ですね」と、横須賀市自然・人文博物館で幅広い研究を続けてきたホタル博士の大場信義さんはいう。 光っていれば鳥や小動物に見つかりやすい。食べられては求愛どころではない。そんな不利な性質は子孫には伝わらない、というのが進化の常識だ。

 ホタル、とくにその幼虫には、天敵がいやがる物質をもっているものが多いことがわかってきた。食べてもおいしくない。「光っても大丈夫というより、『食べられません』と積極的にアピールしているのです」 50種近い日本のホタルのすべての種が幼虫時代には光るのに、成虫になると光らないものが多い。本質はむしろ「警告」の方にあると考えた方が素直だ。

 「先進国でホタルを愛でる国は日本くらい。日本生まれのホタル研究を大事にしたい」と昆虫文化誌研究家で日本ホタルの会理事の小西正春さん。期待通り、研究は活発になってきた。

進化違う源平
 たとえば、ゲンジボタルとヘイケボタルでは、分布拡大の様相が違うことなどが明らかになった。

 ゲンジの光に「方言」があることは大場さんの長年の研究でわかった。オスが光を同調させて飛ぶときの明滅間隔は西日本で2秒、東日本は4秒。境はフォッサマグナの東端の辺りだ。

 光学機器メーカーとしてホタルとも縁の深いオリンパス研究開発本部の鈴木浩文さんが、ミトコンドリアのDNAを使いこの現象に挑んだ。他の昆虫で得られた分子の変異速度を当てはめると、方言ができたのは 「500万年前」だった。

 2.5〜4秒の不規則な発光間隔のクメジマボタルはゲンジと祖先が同じだと考えられており、その分岐は「1600万年前」。つまり、ゲンジの仲間は古くから日本に住み、列島の形成を反映しながら枝分かれしていったことになる。

  一方のヘイケは、習性は多少違っているのに、分子レベルの差は、九州から北海道までほとんどない。比較的新しい時代になって列島全体に拡散した可能性が強い。水田の拡大などとも関係があるかもしれない。

飼育に警戒感
 「ホタルたちは、日本列島の歴史の生き証人。安易な移植は慎むべきだ」。大場さんも、鈴木さんも、最近のホタル飼育ブームの過熱を強くいましめる。

発光を起こす遺伝子 先端科学にも一役

 ホタルの光の正体はルシフェリンという物質と、ルシフェラーゼという酵素の化学反応。これを使った研究が始まっている。たとえば、ルシフェラーゼの遺伝子を組み込んだ細胞をつくっておき、そこにルシフェリンをくっつけた薬を与える。両者が作用すれば発光が起きる。薬が、細胞のどの部分でどのような強さで働いているか、人間の目で実際に確かめられるわけだ。もっとも、そうして出る光はあまりにかすか。これまで、観察には特殊な装置や長い露光時間が必要だった。

 オリンパスは、弱い光にも対応、観察に必要な時間を従来の30分の1にした顕微鏡システムを開発、5月に販売開始にこぎつけた。細胞を傷めることがないので、生かしたまま最大で数週間連続しての観察もできるという。「ある遺伝子がどうやって働き始めるのかといった基礎研究に役立つのはもちろんですが、再生医療、薬の効き方や副作用の研究などの分野への応用も期待されています」(北田津世志・広報IR室員)。科学技術の最先端分野で、ホタルが大役を果たすことになるかもしれない。