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日本の社会保障制度の未来を考察 -埼玉大学連続市民講座 part 13「危機の時代Ⅱ -しなやかな社会を目指して-」開催報告

2022/9/2

 8月27日(土)、埼玉大学連続市民講座 part13「危機の時代Ⅱ-しなやかな社会を目指して」の第4回講義を開催しました。

 今回は、大学院人文社会科学研究科 大津 唯 准教授が講師として登壇し、「人口・経済・社会の危機と日本型福祉国家の未来」をテーマに講演をおこないました。

 講義ではまず「人口の危機」として少子高齢化問題を掘り下げ、1995年頃から減少を続け、今後も更なる減少が予想されている生産年齢人口(15~64歳)の変化や、高齢化率増加の要因の一つである平均寿命の伸びについて説明がありました。人口構成は国民皆保険・皆年金が実現した1961年から大きく変わっており、減り続ける現役世代と増え続ける高齢者という構造は今後も変わらず、約40年後には人口の5人に2人は高齢者になる見込みであることを確認しました。

 次に「経済の危機」として、1991年のバブル崩壊以降低迷が続く経済成長率や、過去30年の間に大きく上昇した相対的貧困率、増える非正規雇用などについて説明がありました。また、生産年齢人口比率の低下期は経済成長率も低くなる(人口オーナス)ことが分かっており、講義冒頭で学んだ人口の危機が経済の危機にも大きな影響を及ぼしていることを確認しました。

 最後に「社会の危機」として、高齢者がいる世帯の構造別割合の変化について説明がありました。1980年には高齢者のいる世帯のうち三世代で暮らす世帯が約50%を占めていたところ、現在は約10%まで減少。約60%の高齢者世帯が単独世帯や夫婦のみの世帯となっています。そのため、これまで同居家族が担ってきたサポートを公的なサポートに頼らざるを得ない状況になっており、社会保障に求められる役割が大きくなっていることが説明されました。

 これら3つの危機から考察すると、現在の日本は「社会保障のニーズは拡大する一方で、財政は悪化する」というジレンマに陥っていることが分かります。2010年代に「社会保障と税の一体改革」が進められ、「全世代型社会保障」の理念が掲げられたものの、現在も年金や医療といった高齢者が主となる社会保障重視の枠組みから抜けだせず、特に教育や子育ての分野では依然として家庭の負担が重く、社会保障が弱いという状況にあります。大津准教授は、子育て世代への社会保障を充実させることが、最終的に人口の危機、経済、社会の3つの危機の解消に繋がるのではないでしょうか、と講義を締めくくりました。

ウェビナーの様子

参考URL

埼玉大学連続市民講座 part 13 「危機の時代Ⅱ-しなやかな社会を目指して-」このリンクは別ウィンドウで開きます