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スマート農業を支えるセンサ技術とは? -埼玉大学連続市民講座 part 13「危機の時代Ⅱ -しなやかな社会を目指して-」開催報告

2022/7/26

7月16日(土)、埼玉大学連続市民講座 part13「危機の時代Ⅱ-しなやかな社会を目指して」の第3回講義を開催しました。

今回は、大学院理工学研究科 長谷川 有貴 准教授が講師として登壇し、「日本の農業における危機と未来-スマート農業を支えるセンサ技術-」をテーマに講演。私たちの「食」を支える農業分野が抱える課題や、その解決手段として注目されるスマート農業。そして、スマート農業を支えるセンサ技術を紹介しました。

講義ではまず、日本の農業分野の現状について説明があり、労働力不足や高齢化、気象現象の激甚化による農地被災、天気と植物の状況に応じた対応、栽培方法の技術継承の難しさ等、農業分野における課題が説明されました。その解決手段の一つとして注目されているのが、農業と先端技術を掛け合わせた「スマート農業」です。例えば露地栽培においては、ドローンに搭載したカメラからのセンシングにより、ほ場内の生育状況をマップ化したり、AI技術を用いたキャベツ自動収穫機によって、コンテナへのキャベツ収納やコンテナ交換を自動化することで、従来は10aの畑の収穫に5~6名で20時間以上かかっていた作業を、1名で20時間以内で完了させることができるなど、省力化に有効であることが紹介されました。

次に、第1世代(露地栽培)、第2世代(ハウス栽培)、第3世代(水耕栽培)に続く、第4世代の農法技術として、植物工場が紹介されました。温度、養液、光を制御することで安定的な生産や無農薬栽培が可能になる植物工場ですが、環境整備にコストがかかるため、生産性や安定性を限りなく高めなければ採算を取ることが難しいことが大きな課題です。そこで活躍するのが光や二酸化炭素濃度、温度・湿度等をセンサを用いて管理するセンシングの技術であることが説明されました。

休憩後はセンシング技術の中でも「SPA(Speak Plant Approach)技術」と呼ばれる、センシング技術で計測された植物生体情報に基づいた生育環境の最適化について説明がありました。植物細胞や葉面につけた電極から「生体電位」と呼ばれる電気信号を測定し、その反応を見ることで光合成の活性状態を把握したり、生長効率の高い光の波長を見つけたりすることなどが可能となり、植物にとって最適であり、かつ環境負荷の低減による運用コストの最適化が可能になります。

こういったスマート農業の技術により、労働力不足の解消や熟練農業者の技術の見える化が進むことで、農業分野が抱える課題の解決が進み、ひいては農作物の安定した供給が期待されると説明した長谷川准教授。今回は国内の課題が主軸でしたが、急激に増加する世界の人口や、それに伴う食料増産の必要性といった世界的な問題もあり、食料の確保は今後非常に重要になってくるということを再認識いただけたら、と講義を締めくくりました。

大学院理工学研究科 長谷川 有貴 准教授

会場の様子

参考URL

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