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◆埼玉大学創立70周年記念事業◆第6回リベラルアーツ研究セミナー「動詞語義記述の手段としてのシンタクス-現代日本語について」を開催しました

2019/11/1

10月18日(金)、教養学部主催の第6回リベラルアーツ研究セミナーにて、「動詞語義記述の手段としてのシンタクス-現代日本語について」をテーマについて岡田 幸彦 先生が講演を行いました。

当日の講演要旨は下記のとおりです。

要旨

ひと言で「言語の意味」という言い方をしても、「意味」とは何かについては、いくつもの可能性がある。ここでは、Виноградов, В. В. (1953) Основные типы лексичеких значений словаによるлексическое значение слова「語の語彙的意味」、Lyons, J. (1977) Semanticsによるdescriptive meaning「記述的意味」を、個別言語記述の一環としての意味記述で扱うべきものと捉える。

現代日本語の語の語彙的意味・記述的意味(以下「語義」)を、現代日本語を用いて記述するのが「国語辞典」であるが、名詞に比べ、動詞は辞書による語義の記述の違いが大きい。動詞の語義の記述においては、何が必要であろうか。

動詞の語義と、用いられている文型との間に、密接な関係があることはしばしば指摘されている(Виноградов, В. В.  (1953)、Lyons, J. (1977)等)。現代日本語に関しては、奥田靖雄(1968-72)「を格の名詞と動詞とのくみあわせ」による「語彙的な意味の性格」、宮島達夫(1972)『動詞の意味・用法の記述的研究』による「語い的意味の形式的側面」=「範ちゅう的な側面」において、動詞の語義と用いられている文型との間の密接な関係が示されているが、それらに基づく諸研究において、例えば、名詞の格形式について、「家に つく」「会場から でる」「駅まで あるく」等を、鈴木(1972)『日本語文法形態論』では「状況語」と、早津恵美子(2010)「連用修飾語の解体」では「補語」と捉える、といったように、異なる見解が示されている。

動詞と結合する名詞の格形式に注目すると、「名詞+が」は動作・状態の「主体」を示すものとして(増井金典(1997)『「が」と「は」についての研究』等)動詞の語義の記述に重要な役割を果たす。また、「名詞+を」「名詞+に」は結合する動詞によってその意味が決まる(「ドアを 開ける」=動作を受ける対象、「顔を 見る」=知覚される対象、「を 出る」=出発地点、「廊下を 通る」=通行地点;「先生に 会う」=動作の相手、「あなたに あげる」=授受の相手、「玄関に 立っている」=存在地点、「家に 帰る」=到着地点)という点でその動詞の語義の特徴を明らかにする重要な手段となり、一方、「名詞+で」「名詞+から」「名詞+まで」「名詞+へ」はそれぞれ明確な意味を持っているという点で結合可能な動詞の語義の特徴が明らかになる(以上、拙稿(2017)「現代日本語の連用成分についての一考察―名詞の文法的意味・動詞の語義から」)、ということができる。このように、特定の格形式の名詞が文中でどのような意味になるかは、結合している動詞の語義の特徴を明らかにする有効な手段であり、動詞の語義記述においても必要なものであるといえる。

講演する岡田 幸彦 先生

会場の様子

参考URL

2019年、埼玉大学は創立70周年。SAITAMA UNIVERSITY 70th ANNIVERSARYこのリンクは別ウィンドウで開きます