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埼玉大学 研究者総覧:http://s-read.saitama-u.ac.jp/researchers/
プロフィール Profile
キーワード
反応性気体力学、衝撃波、燃焼波、超音速燃焼、超音速~極超音速飛行体、デトネーションエンジン
[Reactive gas dynamics, Shock wave, Combustion wave, Supersonic combustion,Supersonic – hypersonic projectile, Detonation engine]
経歴
- 【学位・資格等】
- 2013年3月
- 博士(工学)(筑波大学)「極超音速飛行体周りのデトネーション波」
- 【学歴】
- 2001年4月
- 筑波大学 第三学群 工学システム学類入学
- 2005年3月
- 同卒業
- 2005年4月
- 筑波大学システム情報工学研究科 前期博士課程入学
- 2007年3月
- 同修了
- 2009年4月
- 筑波大学システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻 博士後期課程入学
- 2012年3月
- 同修了、博士(工学)
- 【職歴】
- 2007年4月
- 石川島播磨重工業株式会社(現:株式会社IHI) 航空宇宙事業本部 技術開発センター
- 2009年3月
- 同退職
- 2011年4月 ~2012年3月
- 日本学術振興会 特別研究員(DC)
- 2012年4月 ~2013年3月
- 日本学術振興会 特別研究員(PD)
- 2013年4月
- 埼玉大学研究機構 助教
- 2018年4月 ~
- 埼玉大学大学院理工学研究科 准教授
- 【着任後 受賞】
- 2014年4月
- 第23回 日本航空宇宙学会奨励賞
- 2014年7月
- 平成25年度衝撃波シンポジウム Best Presentation Award
- 2014月11月
- ISEM2014(火薬学会)The Excellent Oral Presentation Award
研究の内容(概要)
可燃性混合気体(水素・酸素など)中を伝播する、デトネーション(爆轟・ばくごう)と呼ばれる現象の研究を行っています。衝撃波と燃焼波が一体となって一般に秒速2km~3km(音速の5~7倍)で伝播する、一種の燃焼(爆発)現象と言えます。 燃焼現象は、エネルギー源としてとしての重要性はもちろん、時には災害・事故の原因にもなります。特に、デトネーションが発生すると圧力や温度が急激に上昇するため、安全工学的な観点からは危険な現象です。 一方で、エンジンや産業機器の高性能化・高効率化へ積極的に応用することが期待されている現象でもあります。
デトネーションの開始・伝播・消滅といった非常に高速で進行する現象を詳細に捉えるため、撮影速度1マイクロ秒(100万分の1秒)の超高速度カメラを用いて、これらの現象を有効利用するための研究を推進しています。一例として、デトネーションで生成された燃焼ガスを使った高速物体の射出装置(デトネーション駆動型ガス銃)の研究があります。超音速~極超音速領域での物体周りの流れ場や、高速物体を使った燃焼波・デトネーション波の着火に関する研究を行うことを目指しています。
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実験室の全景
2013年9月に新しい実験棟が完成し、実験室がより安全かつ快適に生まれ変わりました。 爆発性の高い混合気体を扱う実験であるため、実験装置には肉厚のステンレス鋼管(デトネーション管とも呼ばれる)を使用したものが多くあります。 デトネーションの開始・伝播・消滅を様々な状況下で観測するため、長さ3m~10mまで様々なデトネーション管があります。デトネーションそのものだけでなく、衝撃波の干渉を受けた火炎挙動の研究も行っており、高速流れ場の燃焼現象を扱うための実験装置が揃っています。
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デトネーション駆動型ガス銃の試験装置
写真はデトネーション駆動型ガス銃の試験装置です。 デトネーションの特徴を活かし、比較的容易に燃焼ガスを使って物体を高速度まで加速することができます。 現状では、直径5mmのポリエチレン球を1200m/s(空気中でマッハ数3.5)で射出することができます。 高速飛行物体周りの流れ場を観測するため、高速度カメラを使った可視化を行っています。
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超音速飛行する球体(黒い丸)周りに形成された弓状衝撃波(Bow shock)
流れ場の可視化手法としてシャドウグラフ法やシュリーレン法を用いれば、媒質中の密度勾配を見ることができます。 写真は観測結果の一例です。 左側から右側に球体(黒い丸)が超音速(マッハ数1.7)で飛行しています。球体の周囲には弓状衝撃波(密度が急激に変化する領域)が観測されています。 現状では飛行物体の周囲は空気ですが、可燃性混合気体中では衝撃波によって圧縮された可燃性混合気体が着火し、飛行物体周りに燃焼波(衝撃波誘起燃焼)が形成されます。 衝撃波誘起燃焼は極超音速推進器の燃焼過程への応用が考えられていますが、その挙動には未解明な点がまだ多くあります。
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実験の様子
デトネーションはマッハ数5以上の極超音速領域という非日常の世界を体験できる魅力的な研究テーマです。 またデトネーション現象の発見から約130年が経った現在でも、未解明の課題が多く残されています。 近年、高速度カメラなど計測機器の発達により、デトネーションを詳細に直接見ることが可能となりました。 デトネーションを有効利用するための実験・研究を学生の皆さんと頻繁に議論を重ねながら推進しています。