12 松本正生 社会調査や世論調査と社会との関係
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松本正生

経済学部 教授 (政治学博士)
社会調査研究センター長(http://ssrc.saitama-u.ac.jp/)

経歴
1990年 法政大学大学院政治学専攻博士後期課程修了
1991年 埼玉大学教養部講師
1992年 埼玉大学教養部助教授
1995年 埼玉大学経済学部助教授
2000年 埼玉大学経済学部教授
2009年 埼玉大学社会調査研究センター長

専門社会調査士
日本世論調査会顧問
(財)明るい選挙推進協会理事

著書
『世論調査と政党支持』法政大学出版局、1991
『政治意識図説』中公新書、2001
『「世論調査」のゆくえ』中央公論新社、2003

社会調査、世論調査データの社会への影響は大きい

〜調査データの解析結果を、いかに政策に役立てるか〜


 プライバシーが重んじられ、匿名性の高い現在の社会において、人々の態度や意識を把握することは非常に難しい。一方、社会の多様な課題の解決へ向けてどのような政策や対策を講ずるべきか、何らかの根拠なしには議論自体が成立しない。そこで「ともかく証拠を」と調査が求められる。社会調査や世論調査の役割は大きい。
 ところが、日々の現場では、調査の対象者や回答者となることを拒否される。「調査にはあれほど答えたがらないのに、(調査)結果はこれほどもてはやされる」。残念ながら、これが世の中の現状だ。
		
 埼玉大学では、2009年4月に社会調査研究センターを発足させ、調査方法の研究に取り組むとともに、さいたま市民を対象とする定例のオリジナル調査を実施し、高い回収率を得ている。さらに、メディアの世論調査関係者や内外の研究者・専門家による「世論・選挙調査研究大会」を毎年開催し、調査の精度を向上させるための共同研究を展開している。
 また、埼玉県をはじめとする地域の自治体から調査の委託を受け、結果の解析に基づく政策提言を行なうなど、社会に向けての研究成果の発信(研究機関誌『政策と調査』)も行っている。

PROCESS


「内閣支持率が急落」。新聞やテレビをにぎわす
世論調査の数字。どうして世論調査が
こんなに頻繁に行われているの?
		
そもそも世論調査の数字って本当に正しいの?
		
世論調査結果は日本の政治に
どんな影響を与えているの?

調査方法が面接方式から電話方式に変わり、現在はRDDというコンピュータが無作為に作成した番号に電話する方式が主流となりました。この方法によって、実施したいときはすぐに調査ができるようになりました。
		
世論調査は、国民の動向を推定するために行なうのですから、調査対象者が社会全体の縮図となるように、一定の科学的手続きにしたがって抽出します。わずか数千人を調べただけで国民全体の傾向を把握することができるわけです。
ただ、社会のニーズの高まりや実施頻度の増加に反するように、回収率が低落傾向にあり、世論調査は今、大きな危機に直面しています。
		
何かことがあるたびに新聞やテレビが世論調査を実施し、その結果が政治の流れを作って行く。政 治家ばかりでなく、社会全体がそうしたサイクルで動いています。私はこうした状況を「世論調査民主主義」と名付けています。

様々な研究活動

■ 夢ナビライブ2012東京会場での講義
 夢ナビライブ2012東京会場 ▲ライブ講義の様子 ▲世論調査の実態を熱く語る松本教授
■ 世論・選挙調査研究大会 (2012年)
▲松本社会調査研究センター長による ▲大栗正彦氏(中日新聞社)による「タブレット端末による出口調査の試行」の研究報告。 ▲松田映二氏(世論調査メソドロジスト・元朝日新聞社)による「選挙予測の課題」の研究報告。 ▲コーヒーブレーク 
▲選挙予測調査セッションのコメンテイター(左:読売新聞社の寉田知久氏、中:朝日新聞社の中西豊樹氏、右:東京大学の前田幸男氏)。
研究者一覧