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研究活動Research Activities

 地圏科学研究センターは、2つの分野を中心に研究を進めています。すなわち、地震防災科学研究分野では、地震など突発的な災害に強い大都市システムを研究し、地圏環境科学研究分野では、大地・地下水汚染の防止と浄化、高度危険廃棄物の安全な深層処分などを研究しています。
 地圏科学に係わる問題が全地球的な問題であることによるため、地圏科学研究センター研究のもう一つの特徴として、国際的な共同研究の積極的な推進を挙げることができます。例えば、地震災害であれば都市機能の阻害は世界共通に見られるものであり、国際的な情報交換が極めて重要となります。地圏環境分野でも、大地や地下水の汚染問題や深部地下への高度危険廃棄物の隔離に関する問題は、国境をまたいで議論されるべき事柄と考えられます。地圏科学研究センターは、このような全世界的な問題を解決するために、積極的に国際共同研究を推進しています。

ナチュラル・アナログとは

 千数百年の昔から人類が築いた数々の遺跡が、現在に至るまで残っているのはなぜでしょうか。土木・建設の優れた技術があったから? 私たちはそれらを探ることによって、未来社会に継承するべき先人の術を解き明かそうとしています。
 環境に優しく長期安定的な未来社会を支える技術を研究するためには、短期間の調査・研究では不十分です。長期間にわたって環境に耐えて現在に残る遺跡や自然現象がなぜ残ったのかを、やはりじっくり時間をかけて研究することが必要です。この研究をナチュラル・アナログといいます。この研究に地圏科学研究センターでは世界に先駆けて組織的に取り組んでいます。

地圏科学研究センターの組織的研究

組織的研究が何故必要か

 この研究の特徴は、多くの研究分野の成果を総合して行わなければならない点にあります。例えば、遺跡の修復技術そのもの以外に、
◆遺跡の現状をきちんと記録する技術
◆地震に耐える技術向上のための地震学、耐震工学の研究
◆長期的な風化など材料の長期的劣化に関する研究
◆遺跡の変化をモニタリングする研究
などがあります。それらを総合して研究を進めなければならず、どうしても組織的な研究にならざるを得ません。上図に研究の構造を示します。地圏科学研究センターではここ10年間でこの分野の研究成果で40編以上の論文を国内外学術誌に発表しています。

地震防災科学研究分野

 首都圏に代表される大都市およびその周辺地域で想定される地震災害の中で、特に重要性が大きい複合型地震災害の軽減に関する研究を推進しています。複合型地震災害とは、鉄道、道路、送電線、ガス管、情報網など人間生活を支える各種ライフラインや、堤防および排水機場などの河川構造物の破壊が重なることにより増大した被害、および、単一の構造物の破壊被害が二次的・連鎖的に拡大して大災害に至るといった現代的な災害のことです。現代都市の機能が高度化・複雑化するに従い、このような複合型地震災害もまた複雑化してゆきます。本研究分野では、現代都市の複合型地震災害シナリオを明確にした上で、とくに問題となる各種ライフラインの耐震性向上技術を地盤の詳細把握を基礎として開発していきます。


主な研究テーマ

 ◆地震災害想定と被害軽減動の解析
  ・阪神大震災の被害に基づく各種構造物の強度の評価と被害検知方法の開発
   (川上教授、茂木准教授、斎藤准教授)
 ◆ライフライン安全性向上技術の開発
  ・道路,水道,ガスシステムの地震被害の想定と耐震化への提言
   (地震とガスシステムに関する研究:武州ガスと共同研究)
   (川上教授、茂木准教授、斎藤准教授)
 ◆地盤震動・構造物地震応答の解析
  ・地震外力の確率分布の検討と地盤内波動の内挿方法,可視化に関する研究
   (川上教授、茂木准教授、斎藤准教授)


地圏環境科学研究分野

 現代社会が抱える大地・地下水汚染の修復・回復技術や、高度危険廃棄物の安全な地下処分技術などを研究しています。これらの研究では、地表部における蒸発散を考えた汚染物質移動メカニズムや、ダイオキシンあるいは放射性廃棄物など高度危険廃棄物処分の対象となる深部地下岩盤の性状と地下水流動を把握することが重要となります。したがって、まず、これらに関して現地調査や実験を通じて的確な評価方法と解析技術を開発する必要があります。その上で、浅部地下の汚染物質除去技術と深部地下における高度危険廃棄物隔離技術を開発することを目指します。


主な研究テーマ

 ◆深部岩盤の調査とモデル化の研究
  ・東濃、深地層研究所周辺の岩盤モデル化の研究を基礎とした、次世代型の「進化する岩盤情報システム」構築
   (核燃サイクル委託研究。長田准教授、渡邉邦夫教授、山辺准教授)
  ・地質情報を基礎とした、深部岩盤中の地下水流動・物質移動解析プログラム開発
   (日本原燃共同研究及び核燃サイクル委託研究。渡邉邦夫教授、松本史朗教授、長田昌彦准教授)
 ◆廃棄物処分場周辺の、エキスパートシステムを組み入れた環境モニタリング・システムの構築
  ・深地層研究所周辺を対象としたシステム構築
   (核燃サイクル機構、渡邉邦夫教授)
 ◆岩盤挙動の長期予測システムの構築
  ・岩盤の長期安定性評価手法の実態調査
   (山辺 正准教授,長田昌彦准教授)


協力研究分野

主な研究テーマ

 ◆地球文化遺産研究を基礎とした長期地圏環境評価研究
  ・ペルー、クントゥル・ワシ遺跡石組み構造の保存に関する研究
    (ユネスコ委託、加藤泰健教授、井口欣也准教授、渡邉邦夫教授)


海外共同研究・研究支援

 ◆アジア地域の地震防災・地圏環境保全研究ネットワーク構築
  ・タイ(タマサート大)、スリランカ(モラトワ大)、
       中国(南京大)等との地圏環境保全共同研究
   (渡邉邦夫教授、長田准教授)
  ・スイス、モンテリ地下研究所における、微小地下水量の、
       エバポレーション・ロッギング法による計測
   (フランスANDRA、核燃サイクルとの共同研究。渡邉邦夫教授)
 ◆国際水理学会、地下水理学教育教材の研究
  ・和文・英文の地下水理学教科書出版
   (欧米、国内8大学教官、国内学協会等)


バナースペース

埼玉大学地圏科学研究センター

〒338-8570
埼玉県さいたま市桜区下大久保255

TEL 048-858-3568
FAX 048-855-1378