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地圏科学研究センター > 年報 > 第8巻
プロジェクト研究 III
古代シルクロードに沿ったタジキスタンの仏教僧院アジナテパの修復
渡辺 邦夫 (地圏科学研究センター)
藤井 幸泰 (深田地質研究所)
Enrico Fodde (Bath University,イギリス)
Yuri Peskkov (UNESCO, カザフスタン)
深堀 清隆 (埼玉大学大学院理工学研究科)
背景・ニーズ・目的
遺跡修復を行う場合,考古学的・歴史学的研究と同時に,1) 遺跡立地の地質的・地形学的研究,
2) 遺跡建設材料の研究,3) 遺跡の劣化メカニズムの研究が必要である.その上で,4) 修復および
保全に向けたプランの作製と,5) 実際の修復作業の立案と実行,6) 将来的な遺跡および周辺の景
観プラン作製,が必要となる.さらに,遺跡が発展途上国にある場合は,7) 最新の遺跡修復に関
わる技術移転,8) 相手国の遺跡修復技術者の育成,が不可欠の課題となる.遺跡修復・保全では,
これら 8 つの問題を総合的に考える必要があるが,従来は個別課題に対応することが多かった.つ
まり,全体的に遺跡の修復を立案し実行しその中で問題点を見つけ解決する経験や研究が少なく,
そのことが遺跡修復・保存技術の発展の阻害になっていたと考える.渡辺は,タジキスタンの仏
教僧院アジナテパ修復に関するユネスコプロジェクト(2005-2008)の国際専門家リーダーとなり,
共同研究者と共に,総合的に修復の立案から将来の遺跡景観設計までの 8 つの問題に取り組んだ.
研究内容
今回のプロジェクトで行った研究上の主な項目は,
遺跡建設材料の物性および鉱物学的研究と遺跡修復材料選定(実行年 2005-2006
写真測量による,遺跡修復前後の測量と3次元立体図作製 (2006-2008)
遺跡を崩壊させる塩類風化の,析出鉱物分析と蒸発量計測による解明(2007-2008
アジナテパ遺跡に適合した修復コンセプトの立案と野外実験,及び実行 (2007-2008)
遺跡修復後の景観設計 (2008)
である.上記に関する技術移転とタジキスタン技術者の人材育成は継続的に行った.
オリジナル遺構  日干しレンガ被覆  壁土による被覆
選定した修復コンセプトの基本概念(同一材料による遺構の被覆)
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