background image
地圏科学研究センター > 年報 > 第7巻
うに応答・崩壊するかを力学的に精密に計算する。阪神大震災で観測された地震記録、お
よびその2倍の地震動を、建物に対して与え応答を計算し、どのように安全であるか、ま
たは崩壊するかを可視化する。
動画で最初に壊れた部材(場所)が建物の弱点であり、どの部分が弱いかが視覚的にわ
かることから、家全体を耐震補強するのではなく、弱い部分だけを補強すれば良いことに
なる。このため、不必要な補強や過剰設計を避けることが可能であり、費用が安くすむ。改
修後の応答も動画で確認できるため、家を新築・改築する際の設計のチェックや設計変更
に役立つ。
木造建物に対して開発した崩壊解析 耐震診断法を埼玉大学のホームページ(http://www.
saitama-u.ac.jp/kawakami/)で公開しており、家主からの依頼の他、設計事務所や建設会
社からの依頼に基づき、壁量の変化に伴う家屋の応答の変化の解析や、壁の分布のバラン
スの違いに伴う建物の応答の違いなどの解析を行い、住民教育や社員教育に役立てている。
1.2.3 土構造物の耐震性に関する検討
近年大きな地震が続き、多くの土木構造物が被害を受けた中で、補強土構造物の被害は
比較的軽微であったことが報告されている。補強土工法の耐震性は広く認められ、工法の
更なる高度化が図られてきたこともあり、現在では重要構造物の建設にも多く用いられて
いるのみならず、災害後の強化復旧が唱えられていることもあり、土構造物の復旧工法と
しても広く用いられるようになっている。災害復旧に当たっては、耐震性の高い構造物の構
築がもちろん重要であり、本研究課題においても、盛土構造物の耐震性高度化に関する研
究が行われてきた。しかし災害復旧においては、新規高耐震構造物の建設のみならず、既
存構造物の震災直後の被災程度の緊急診断、復旧のための残存耐力の評価など、新規構造
物の建設とは異なる多くの研究課題が残されている。本年度はその中でも、震災直後の被
災程度の緊急診断と関係する、壁面変位と補強土構造物内部の被災程度の関係について検
討を行った。これは、緊急点検においては、壁面の傾きなど簡便でスピーディーに行える
ものが必要だからである。例えば、壁面パネルの傾斜が 3% を超えると補強土壁内部にす
べり線が生じ、変形が急増してすべり破壊へ近づくという結果が得られている。
2007 年度にはこの他に、液状化地盤の流動方向に縦に配置された群杭の水平抵抗につい
て、模型実験により検討を行った。
1.3 プロジェクト研究資金
平成 19 年度に、このプロジェクト研究に関して大学が受け入れた研究費等は下記である。
文部科学省科学研究費(基盤研究 B2(代表 川上 英二)
2,400,000
平和中島財団外国人研究者等招致助成(代表:桑野 二郎)
1,780,000
埼玉大学総合研究機構プロジェクト経費 (代表:川上 英二)
500,000
埼玉大学総合研究機構プロジェクト経費 (代表:桑野 二郎)
300,000
Prev.
Next