平成19年度文部科学省「専門職大学院等教育推進プログラム(専門職GP)」採択
驚きと感動をつたえる理科大好き先生の養成
―実験・観察のスキルアップを目指した大学・学校・地域連携プロジェクト―
このプログラムは、文部科学省が高度専門職業人養成を行う専門職大学院と学校教員の養成を行う大学等における、理論と実務を架橋した実践的な教育方法等の開発・充実を行う優れた取組について、各大学等から応募された中から、特に優れた取り組みを選定し財政的支援を行うものです。
平成19年度は、教員養成の募集テーマにおいて、全国の国公私立大学・短期大学から60件の申請があり、18件(採択率30.0%)が選定されました。(詳細はこちら「文部科学省HP」
)
平成19年度、教育学部から申請していた「大学等における教員養成教育の充実(小学校教員における理科教育能力の向上)において、上記のプロジェクトが採択されました。このプログラムが採択されたことは、本学の教育改革を推進する姿勢が認められたものであり、社会的にも高く評価されたと受け取ることができます。
取組の概要
本取組は、大学・小学校・地域(政令指定都市さいたま市)の三者の緊密な連携のもと、小学校教員を対象とし、まず彼ら/彼女ら自身が理科好きになって驚きと感動を実感し、五感を通して納得と自信を蓄え、それらに裏打ちされた確かな指導力を身につけることによって、子どもたちに驚きと感動を伝えることのできる理科実験・観察技能を修得することを目的としています。そのために必要な授業支援、研修機会や情報の提供、等を実施します。
取組の概念図
本取組の目的
本取組の目的は、一言でいえば、高度専門職業人としての小学校教員のスキルアップとなりますが、加えて本取組の狙いとして、スキル面だけでなく、豊かな人間性を備えた資質の高い教員の養成、理論と実践を架橋した実践的な教育方法等の開発・蓄積、本取組への学生参加による教員養成の質の向上、が底流に存在します。
全体の構造的特徴として、縦軸として【研修・出前】事業と【サポート】事業との二つの柱を設定し、そこに横軸として、まず「驚き・感動」し、ついで「納得・自信」を得、最後に「確かな指導力」を身につけるという、三つのステップをかみ合わせています。
こうした本取組全体の概要と構造的特徴については、上記の概念図のとおりです。
実施体制
- さいたま市教育委員会と教育学部との恒常的な連絡調整機関として専門作業部会を設けています(部会長は教育学部長)。
- 大学としては、研究担当理事の統括の下に、教育学部において学部長を実施総括責任者とし、理科教育講座の全教員が何らかの役割を担っています。
- 理科教育講座に「理科大好き先生プロジェクト実行委員会」を組織し、具体的な企画の立案、連絡、調整、実行にあたっています。
- 学生の派遣の実務は、教育学部の教職支援室および学校フィールドスタディ推進委員会と連携しながら遂行しています。
実施内容の項目
A 【研修・出前】事業:小学校教員の実験・観察スキルと指導力の向上(概念図左列)
1.小学校教員自身が驚きと感動を体験し、理科が好きになるような研修や出前授業の実施
2.小学校教員自身が納得と自信を得ることができるような実験・観察の基礎技術の研修や出前授業の実施
3.確かな指導力の育成を図ることを目的とした研修の実施
B 【サポート】事業:魅力的な実験・観察授業を継続的にサポート(概念図右列)
4.現代社会や地域の課題に即した身近な教材・教具の共同開発と提供
5.ホームページや質問箱やビデオライブラリー等による支援体制の拡充
6.実験・観察技能の習得者を小学校に派遣
本取組の有効性
取組にあたっての問題意識と目指すべき成果
豊かな社会を構築するためには、日本の経済、政治、文化、科学・技術の水準の維持向上が喫緊の課題となっています。ところが日本国内では、児童・生徒の理科離れ、教員の指導力不足(特に理科教育)が指摘されています。そこで本取組では、1人でも多くの小学校教員が理科好きになり、理科の実験・観察の指導に自信を持ち、それらを日常の授業に多く取り入れ、生き生きと自然科学の醍醐味を子どもたちに伝えることができるようになってほしい、という問題意識から出発しています。さいたま市は大都市の近郊に位置するので、農地や自然林なども見られます。しかし都市化と開発が急激に進むなかで、残存する自然環境に対する影響は著しく、地域に特有の課題も有しています。地域の特性に即した教材を開発・提供することも、子どもたちが身の回りの自然や環境問題を理解し、人類・地球の将来を担う人材として育つために重要であると考えます。
教育の質の向上に向けた活用方法
本取組で、自然科学の醍醐味に触れた教員が習得する観察・実験の基礎・基本的技術や具体的な指導法は、すぐに魅力ある理科の授業に活用することができます。また実験要員の派遣や教材・教具の共同開発と提供により、さいたま市を中心とした地域の理科教育の質の向上を継続的にサポートすることができます。さらにホームページやビデオライブラリーを公開することにより、広く全国的に教育の質の向上に資することができます。
本取組は、「理科大好き先生」の世代継承の核作りとしても活用されます。本取組を通して確かな指導力を身につけた教員が、学校現場や地域の研究会を通して、次の世代の教員へとその体験と感性と技術を継承することができるからです。
本取組は、大学における教員養成の質を高めることにより、参加した学生が教職に巣立つことにより、一、二年後にも、地域の教育の質の向上に直結します。
他の大学等への波及効果
本取組の工夫と内容と成果を、ホームページを通して公開し、常に内容を更新することによって、他大学への波及効果を図ります。
各年度末に、取組の内容をまとめた冊子を編集・印刷し、他大学の理科教育講座、他県の教育委員会等に配布することを通して、本取組が他大学等に波及することが期待されます。
最終年度の後半に、本取組を総括的に振り返って、他大学からの参加を得て、シンポジウムを開催します。

