名前:佐々木 浩日時:2008年04月28日 22時17分23秒

中学3年生です.質問なのですが,気温が上がるから気圧が下がるのか,もしくは気圧が下がるから気温があがるのかどちらが正しいのでしょうか.

名前:芦田 実日時:2008年05月06日 02時25分00秒

佐々木 浩 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部や学外の別館から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問527 中学3年生です.質問なのですが,気温が上がるから気圧が下がるのか,もしくは気圧が下がるから気温があがるのかどちらが正しいのでしょうか.

回答 このホームページは無機化学系(または物理化学系)の研究室で作っています.この質問は守備範囲を超えていますので,下記の回答以上に詳しいことが知りたい場合には,地学(または気象学)の専門家に質問して下さい.この回答も,私が気象学の専門の先生に伺って,そのときの話を参考にして作成しています.
 気温と気圧の関係は,次の様に幾つかの場合に分けて考えたほうが良さそうです.1つ目は,地表付近の固定位置で気温と気圧を観測した場合です.質問の意味も,この内容だと判断します.気圧は測定場所より上に存在する空気の重さになります.空気は気温が高くなれば軽くなり(膨張し),低くなれば重くなり(収縮し)ますから,気温の変化(原因)が気圧の変化(結果)をもたらすと,一般的に考えて良いそうです.例えば,夏の日中には,地面付近が熱せられることによって気温が上昇し,内陸部に熱的低気圧が発生するそうです.大きなスケールでは,冬に大陸が冷却することによって空気が重くなり,シベリア高気圧が発生するそうです.これらの場合には,空気の塊が外部(周囲)と熱エネルギーをやり取りしています.結論として,気温が上がるから気圧が下がることになります.ただし,上昇気流や下降気流が発生しますので,固定位置で観測した場合には,同一の空気塊の気温と気圧の関係ではないように思います.
 2つ目は,上昇気流中または下降気流中の同一の空気塊について考えた場合です.理想気体の状態方程式(ボイル−シャルルの法則)より一定量(外部との間に分子の出入りがない)の気体の体積は,圧力に反比例し,絶対温度に比例します(圧力×体積∝絶対温度).温められた空気塊は上昇し,気圧が低くなり,体積が増えます.すなわち,空気塊は周囲に対して圧力×体積の変化量分の仕事をします.このときに,空気の持っていた熱エネルギーが代わりに消費され,温度が低下します(仕事に相当する分量だけ温度が変化).気流中では,外部(周囲)もほとんど同じ気温なので熱エネルギーの出入りが起こりません(断熱変化).したがって,気温と気圧の変化は同時に起こり,どちらが先とは言えないように思います.ただし,気流中の(同一の空気塊の)気温と気圧を,気流に何ら影響を与えることなく,気流と同一速度で移動しながら連続的に観測することは,かなり難しいと思います.高度の異なる複数の位置で観測したデータ(異なる空気塊)から推定するほうが簡単だろうと思います.
 3つ目は,低気圧や高気圧の移動によって気圧が変化する場合です.他にもいろいろな原因が重なることがあるそうです.これらの場合は現象が複雑であり,気温と気圧の関係を簡単に言い表すことはできないそうです.したがって,上の1つ目で述べた結論はあくまでも一般的な(非常に単純化した)話だそうです.
 天気(気温,気圧,台風等)の詳細については,参考として下記のホームページもご覧下さい.

http://contest.thinkquest.jp/tqj2001/40457/weather/weather_qu_prmain.html
http://contest.thinkquest.jp/tqj2001/40457/weather/weather_question.html

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実