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名前:早坂 将崇 日時:2004年12月22日 10時35分48秒

水の硬度のうち,Ca硬度を測定する際にアルカリ(水酸化カリウム等)を加え,pH12〜13にしてMgを水酸化マグネシウムとして沈殿させるとありましたが,何故水酸化マグネシウムはpH12以上で沈殿し,全く溶解しなくなるのですか?

名前:芦田 実 日時:2004年12月27日 00時10分00秒

早坂 将崇 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問185 水の硬度のうち,Ca硬度を測定する際にアルカリ(水酸化カリウム等)を加え,pH12〜13にしてMgを水酸化マグネシウムとして沈殿させるとありましたが,なぜ水酸化マグネシウムはpH12以上で沈殿し,全く溶解しなくなるのですか?

回答 単なる溶解平衡の現象ですから,全く溶解しなくなることなどありません.溶解量が実質的に無視できるだけです.18℃における水酸化マグネシウムMg(OH)2の溶解度はS=9.80×10-3 g/Lです.これをモル濃度に変換するとC=1.68×10-4 mol/Lになります.このときの水酸化物イオンのモル濃度は[OH-]=2C=3.36×10-4 mol/Lであり,そのpH=10.53になります.モル濃度から溶解度積を求めるとKsp=[Mg2+][OH-]2=4C3=1.90×10-11となります.pHが変化しても,溶解度積の値は変化しないと思います.pH=12において[OH-]=1×10-2 mol/Lですから,マグネシウムイオンのモル濃度は[Mg2+]=Ksp/[OH-]2=1.90×10-7 mol/Lとなります.同様に,pH=13において[OH-]=1×10-1 mol/L,[Mg2+]=1.90×10-9 mol/Lとなります.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実