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名前:田辺憲子 日時:2004年12月21日 19時05分03秒

数十年前に高校で化学を学んだ主婦です.家の井戸水について気になることがあり,質問させていただきました.数年前に替えた給湯器から銅イオンが溶け出して風呂等で銅石鹸となって析出しています.そして給湯器は銅の部分にとうとう穴が開いてしまいました.それで最近井戸水対応の給湯器に変えました.それは良いのですが,多分イオン化傾向の差によって銅が溶け出しているのだと考えられますが,そうするとイオン化傾向の小さい水銀等が井戸水の中に入っているのでしょうか?もしそうだと毎日飲んでますので,ちょっと怖いのですが,井戸水に何が入っているのかを簡単に調べる方法はないでしょうか?また銅のタンクが溶けるということは,イオン化傾向のこの考えで正しいでしょうか?よろしくご指導お願いします.

名前:芦田 実 日時:2004年12月26日 21時40分00秒

田辺憲子 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問184 家の井戸水について気になることがあり,質問させていただきました.数年前に替えた給湯器から銅イオンが溶け出して風呂等で銅石鹸となって析出しています.そして給湯器は銅の部分にとうとう穴が開いてしまいました.それで最近井戸水対応の給湯器に変えました.それは良いのですが,多分イオン化傾向の差によって銅が溶け出しているのだと考えられますが,そうするとイオン化傾向の小さい水銀等が井戸水の中に入っているのでしょうか?もしそうだと毎日飲んでますので,ちょっと怖いのですが,井戸水に何が入っているのかを簡単に調べる方法はないでしょうか?また銅のタンクが溶けるということは,イオン化傾向のこの考えで正しいでしょうか?

回答 銅は給湯器,湯沸器,給湯管や一部の給水管に使われていて,銅の内面が新しいときに銅イオンが溶け出し易いそうです.水を長期間通すと酸化銅の被膜が形成されて,溶け難くなるそうです.酸化銅の被膜は,一般的に数週間から数か月で形成されるそうです.しかし,井戸水など水源のpHが低く,遊離炭酸の多い水では,酸化膜が形成され難いこともあるそうです.また,湯沸器等では水温が高いので,滞留している間に銅イオンが水に溶ける量が増えるそうです.
 開放型蓄熱糟を用いた冷水系統の配管および熱交換器ではT型(冷水型)孔食という腐食が起こるそうです.孔食部の上に炭酸カルシウムと塩基性炭酸銅の緑色の盛り上がりができ,その下が腐食する現象で,孔食の間口が広いことなどが特徴だそうです.この孔食は給水用銅管,あるいは使用時以外は水温が下がる一過式の給湯用銅管に発生する傾向があるそうです.
 貯湯式ボイラーを使っている場合には,ボイラーと銅管の間に絶縁継手を設ける必要があるそうです.貯湯式ボイラー内は鋼管系で,銅管につなぐと,異種金属による電食を起こし,ボイラー内あるいは銅管に腐食が発生するそうです.
 結論として,水銀等は井戸水に入っていないと思います.水銀の水質基準は0.0005 ppmで,非常に小さい値です.こんなに少ない量でも有害なわけですから,もし入っていたらとっくに病気になっていると思います.まず,井戸水のpHを調べてみるべきだと思います.弱酸性だったら,その酸によって酸化銅が溶解して,銅イオンが生じている可能性があります.絶縁継手を設ける必要があるかどうかはメーカーや工事した業者に相談して下さい.イオン化傾向はあまり関係ないと思います.その他,イオン化傾向では説明できない金属間の溶解・析出現象として局部電池(質問10)があります.参考として,下記のホームページもご覧下さい.

http://www.pref.chiba.jp/suidou/suisitsu/situmon/kibutu-ao.html
http://buhin.toto.co.jp/kosyoushindan/ub/care/yogore.asp
http://www.tsumura.co.jp/products/qa/yogore.htm
http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/newcon-70.htm
http://doukan.jcda.or.jp/kenchiku/41/
http://www.copper-world.jp/fushoku/1/

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実

名前:田辺憲子 日時:2004年12月27日 10時48分04秒

芦田 実 先生

 暮れのお忙しい時,早速お返事ありがとうございます.長い間の懸念の解決の糸口が見つかったようで少し安堵しています.数年前から銅石鹸が気になりだし,そして最近,イオン化傾向のことを思い出して大変心配していたところでした.早速pHを調べてみたいと思います.

田辺憲子