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名前:山野井 俊 日時:2004年11月03日 02時52分43秒

・イオン化エネルギーについて

1族では,周期が下に行くにつれて,イオン化エネルギーは小さくなるのは,原子半径から考えてわかりました.
しかし,10族(NiPdPt),11族(CuAgAu)は逆に,下に行くほどイオン化エネルギーが大きくなります.これについて,私はdブロックがなにか関係があるのではないかとにらんでいるのですが,結局明快な答えがわかりませんでした.

ご指導のほう,ぜひよろしくお願いいたします!

名前:芦田 実 日時:2004年11月13日 12時00分00秒

山野井 俊 様

 このホームページは無機化学系(または物理化学系)の研究室で作っています.必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.もっと正確なことや詳しいことが知りたければ,量子化学や量子物理学などの専門家に質問して下さい.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問161 イオン化エネルギーについて,1族では周期が下に行くにつれて,イオン化エネルギーが小さくなるのは,原子半径から考えてわかりました.
しかし,10族(Ni,Pd,Pt),11族(Cu,Ag,Au)は逆に,下に行くほどイオン化エネルギーが大きくなります.これについて,私はdブロックがなにか関係があるのではないかとにらんでいるのですが,結局明快な答えがわかりませんでした.

回答 せん移元素の電子配置は複雑に変化します.同じ族でも最外殻付近の電子配置が同じとは限りません.d軌道に電子が5個入った状態と10個入った状態が安定であること,4f軌道の電子の有無,最外殻と原子核の距離などが関係すると思います.イオン化エネルギーには原子の基底状態の電子配置が関係すると思います.さらに,イオン化した後のイオンの基底状態の電子配置も関係するかもしれませんが,これについては調べた範囲で分かりませんでした.
 10族(Ni,Pd,Pt)は,確かに下に行くほどイオン化エネルギーが大きくなっていますが,電子配置が全て異なり,比較の対象にならないように思います.11族(Cu,Ag,Au)は電子配置は似ていますが,真ん中のAgのイオン化エネルギーが最も小さくなっています.
 せん移元素のイオン化エネルギーを考えるなら,むしろ3族(Sc,Y,Lu)や4族(Ti,Zr,Hf)で比較するほうが良いと思います.電子配置が似ていますし,イオン化エネルギーも下に行くほど小さくなる傾向があります.少なくとも,d軌道に電子が5個入った状態と10個入った状態の影響がないと思います.
 なお,第2イオン化エネルギーについては,また話が変わり,第1イオン化エネルギーよりも複雑に変化しています.

元素イオン化エネ
ルギー,eV
原子の基底状態の電子配置(軌道はエネルギー順)
3p4s3d4p5s4d5p6s4f5d
3Sc6.54 621       
 Y6.38 6210621    
 Lu5.43 6210621062141
4Ti6.82 622       
 Zr6.84 6210622    
 Hf6.78 6210621062142
8Fe7.87 626       
 Ru7.37 6210617    
 Os8.28 6210621062146
9Co7.86 627       
 Rh7.46 6210618    
 Ir9.02 6210621062147
10Ni7.64 628       
 Pd8.34 62106010    
 Pt8.61 6210621061149
11Cu7.73 6110       
 Ag7.58 62106110    
 Au9.23 62106210611410

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実