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名前:pH 日時:2004年07月30日 19時52分26秒

@希薄溶液のpHの求め方についてです.一塩基酸の濃度が0.01[mol/]だとして,これを104,105倍,107倍,109倍に薄めた場合はどのようになりますか?出来れば,弱酸と強酸の両場合についての算出方法も知りたいです.

名前:芦田 実 日時:2004年08月06日 19時00分00秒

pH 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問130 @希薄溶液のpHの求め方についてです.一塩基酸の濃度が0.01mol/だとして,これを104倍,105倍,107倍,109倍に薄めた場合,pHはどのようになりますか?出来れば,弱酸と強酸の両場合についての算出方法も知りたいです.

回答@ 一塩基酸HAの電離平衡 HA⇔H++A- より,電離定数は KA=[H+][A-]/[HA]
水の電離平衡 H2O⇔H++OH- より,水のイオン積は KW=[H+][OH-]=1.0x10-14(25℃)
物質収支の均衡より,希釈後の一塩基酸の初濃度をCとすると C=[HA]+[A-]
電気的中性より [H+]=[OH-]+[A-]
以上の式より KA=[H+][A-]/[HA]=[H+]([H+]2-KW)/(C[H+]-[H+]2+KW)
  ∴[H+]3+KA[H+]2−(CKA+KW)[H+]−KAKW=0
未知数は[H+]だけなので,数学的に解くなら3次式のCardanの解法を使います.または,[H+]の値を適当(試行錯誤)に変えながら倍精度で計算して,上の式が成立する(零になる)ときの[H+]の値を求めます.
 上の式は弱酸でも強酸でも成り立ちます.濃度が薄いので,弱酸と強酸によるpHの違いはあまり大きくないと思います.両方とも完全解離に近いと思います.強酸の場合にはKAの値を適当な大きな値にすればよいと思います.希釈倍率が大きくなるほど,相対的に水の解離効果のほうが大きくなり,純水のpHに近づきます.ただし,これは実用的には全く意味のない無駄な計算です.空気中には二酸化炭素が存在しますので,それが水に溶けて,実際の純水はpH=6前後です.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実